〈子供向けにと考えたことはないです。自分の好きな『笑い』をやっているだけ。言葉よりも動きで笑わせる方だから、見て分かりやすいんですかね〉(平成元年3月9日・読売家庭経済新聞)
志村けんのドリフ加入は、運命の糸が絡み合った必然のように思える。一方で、歴史に“もしも”はないが、『シャボン玉ボンボン』が人気になれば、萩本と志村がその後、何度も同じレギュラー番組を持った可能性もある。そうなれば、テレビ史は違う軌跡を描いたかもしれない――。
■文/岡野誠:ライター。著書『田原俊彦論 芸能界アイドル戦記1979-2018』(青弓社)では1980年代以降のテレビ史や芸能史を丹念に考察している。本人や関係者への取材、膨大な一次資料、視聴率などを用いて分析した同書は鈴木智彦著『サカナとヤクザ』、山田ルイ53世著『一発屋芸人列伝』などとともに『本の雑誌』2018年ノンフィクション部門ベスト10入り。