また、仕事を失い、食い詰めた者が自らの命を絶つだけでなく、強盗などの犯罪に走るケースも増えるだろう。そうした事件がおきたらすぐに「コロナ犯罪」と名づけられるはずだ。そのような犯罪が増える前に、国の「警戒事態宣言」や都道府県の「警戒事態措置」で、自粛要請を緩め、経済を支えるという発想は、私はありだと思う。
ただし、それは言うまでもなく、コロナ感染者の増加の恐れとセットのものだ。自粛要請を緩めればどうしたって感染リスクは高くなる。だから、「宣言」をワンランクダウンさせるならば、それと同時に、感染しやすい高齢者と持病を持っている人に対する医療ケアのさらなる充実を図らなければならない。
これからの我々には、いまの「ステイホーム」「3密を避けよう」ばかりを守っていればいいわけではない、という気積りが求められる。「できるだけ普通に働こう」といった正反対ともいえる行動指針を、あらたに自分のものにしていく必要がきっと出てくる。
その場合、繰り返すが、自粛要請を緩めれば感染リスクは高まる。自分や家族の命の危険をある程度引き受けながら、普通に働こうという話になる。その覚悟を持てるかどうか、我々が問われる日は遠からずやってくる、とそう思う。