「世の中の動きにアンテナを張り、演技に活かしたい」
2004年に映画『スウィングガールズ』で注目されると、2007年には大河ドラマ『風林火山』に出演。同年、連続テレビ小説『ちりとてちん』ではヒロインを務めた。
「朝ドラは何度もオーディションに落ちていて、最後のつもりで受けたらまさかの合格。両親はテレビを買い替えていました(笑い)。『あの貫地谷が朝ドラヒロインになった』って泣いてくださった先輩もいて、周りが喜んでくれたことのほうが嬉しかった」
そこからは、映画、ドラマ、舞台と夢中で駆け抜けてきた。そんな貫地谷も30代を迎えてから、仕事との向き合い方に変化が生まれたと言う。
「20代はスケジュールさえ合えば、どんなに忙しくても仕事を入れていたんです。ドラマのプロデューサーさんから『借金でもあるの?』と言われたことがあるくらい(笑い)。でも今は、昔はできなかった私生活を充実させたいという想いが強いです。ご飯を作り洗濯をして、友達と遊びに行くといった普通の生活も経験したい。それはいずれ私の人格形成に繋がって、お芝居に返ってくるはずだから」
そんな貫地谷の目標は、女優であることを意識しないように生きることだ。
「この世界に長くいると、 例えば“壁ドン”されてキュンとする感情も忘れそうになるし、かっこいい俳優さんさえも見慣れちゃう。でも基本的に、私が演じるのはどこにでもいる普通の人。芝居には素の自分が表われるものなので、何事も常に新鮮に感じられるように、普通のことを当たり前に思える感覚を大切にしなきゃと思うんです」