これからは入試には大学の姿勢がはっきり現われるようになります。企業の人事担当者は新卒採用をする際に、その大学の教育内容だけでなく、どんな入試でどんな学生を集めようとしているかを見定めたうえで、採用戦略を立てていくことになるでしょう。大学側も自らのポジションを設定して、何を売りにしていくかを考えていく必要があります。
もちろん、「実業界の評価などどうでもいい。大学は学問の府である」と突っぱねる大学も当然あっていいと思いますが、実業界に貢献する人材を輩出することを教育目的に掲げる大学は考えたほうがいい。こういった制度が変わるときには、既存の秩序が創造的に破壊されるタイミングでもあり、そこから切磋琢磨が起きるので、企業側も、過去の実績やブランドでみるのではなく、大学側がどう変わろうとしているか、今の行っている努力をよく見てちゃんと評価するべきです。
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受験生もこれからは単純に偏差値で大学を比較するのではなく、どんな入試をしてどんな学生を集めようとしているかを一つの視点として、大学選びをする時代になるのかもしれない。
●取材・文/清水典之(フリーライター)