3月中旬から在宅勤務となった金融会社に勤める男性(47)はこう話す。
「うちの会社は基本的に在宅で、管理職は週に1日出社することになっています。はじめは観念して家で大人しくするかとも思いましたが、一日中家にいると本当に自由が利かなくてストレスが溜まるんです。家族以外に会わずに自宅で仕事して晩酌して、だらけた生活をこのまま続けると考えると男としても終わってしまうような焦燥感に駆られてしまいました。
2週間でギブアップして、妻には“今日も出社になった”“時間差通勤で帰りは遅くなる”と嘘をついて、彼女と会うことにしました」
昼過ぎにスーツ姿で自宅を出て、会社とは別の方向の電車に乗る。最近は主要駅近くの繁華街の方が人出が少ないので、渋谷や新宿で彼女と待ち合わせして、ビジネスホテルに入るという。
「もちろん消毒液は持参して、ホテルに入ったらまずドア付近やベッド付近に除菌スプレーをして、シャワーを浴びてお互いの手指を消毒してから、ようやくスキンシップを始めるんです。色気には欠けますが、ちょっとしたスリルはあってそれはそれで気持ちが盛り上がるものです」
一時の逢瀬を楽しんだら、帰り際に“対策”も忘れない。彼女が自分と会っていない時にどこに行ったか、誰と会ったかを必ず聞き取るようにして、万が一どちらかが感染した時にも、感染経路の説明が矛盾なくできるように話し合っている。
「こうして不要不急の外出をしていることが会社にバレるとまずいし罪悪感はありますが、かえって彼女とは共犯関係のような感じで結束できています。こんな時こそ、不倫関係の彼女を大事にする姿勢を見せたほうが喜んでもらえますしね」
※週刊ポスト2020年5月8・15日号