国内

休業要請下で粛々と営業する故郷のパチンコ店を訪れてみた

パチンコ店の駐車場は満車だった

パチンコ店の駐車場は満車だった

 不要不急の外出は控えて新型コロナウイルス感染拡大の防止にご協力くださいと呼びかけられてから1ヶ月が経った。とはいえ、人間は「遊び」がないと生きられない。本来、どのように人が遊ぼうが自由だったはずだが、最近はパチンコに興じることがひどく目の敵にされている。仕事や人生がいまひとつうまくいかないと鬱屈する団塊ジュニアやポスト団塊ジュニアを「しくじり世代」と名付けた『ルポ 京アニを燃やした男』著者の日野百草氏が、今回は、報道やネットでは逆風がうずまくなか、粛々と営業を続ける関東近郊パチンコ店に集う人々についてレポートする。

 * * *
「ここあんまり出ないから来ないんだよね、久しぶりに来たわ」

 5月3日、友人の富田圭くん(47歳・仮名)の軽自動車で、私は自分の故郷、野田市のパチンコ屋を訪れた。生まれてずっと、何もかも見慣れた景色、理科大校舎も、「野田城」と間違われる某新興宗教団体本部も幼い頃から遊び場だった。

「野田がまさかパチンコで有名になるとはね、南柏は陥落、東松戸と勝負だ」

 コロナの中、私はパチンコ屋の取材も続けていたが、取材した先が次々と営業自粛していった。印象的だったのは亀有のパチンコ屋(奇しくも今回の店の系列店)で取っ組み合いに巻き込まれそうになったことと、茨城県と千葉県の県境、境町にある巨大パチンコ屋の要塞のような佇まいであった。両者ともゴールデンウィーク前には臨時休業となったが、千葉県は3店が営業し続けていた、そしてこの前日、富田くんの言う通り、南柏のパチンコ屋が夕方をもって休業、残るは東松戸と、そして我が野田のパチンコ屋のみとなった。

「東松戸のほうは市長が来たらしいけど、市長来たる!ってタレントのパチンコ営業みたいだよな」

 茶化す富田くん。東松戸のパチンコ屋には松戸市長が直々に来店、休業要請をした。私は南柏と東松戸は言うことを聞くだろうと読んで、帰省も兼ねて野田のほうを選んだ。出身者として言わせてもらえば、柏市と松戸市はちゃんとした自治体だが、野田市はそうでもないだろう。これは生まれて社会人になるまでこの野田で育った私の読みだ。野田はそういう田舎だ。都心から車で1時間もかからないのに、良くも悪くも昭和の土着文化が色濃く残っている。そしてその読みは残念ながら当たった。

「うわーすげえ、車停めるとこねえべ」

 富田くんから野田弁が出る。それくらいに野田のパチンコ屋の駐車場はすし詰めだった。広大な敷地に圧巻の車列、ちなみに野田と言ってもここは上三ケ尾、流山市や柏市、利根川を挟んで茨城県守谷市と隣接する野田の外れである。駅で言うと東武野田線の運河駅だろうか、もちろん遠すぎて歩く人などいないが。野田は関東の田舎に漏れず、基本的に車社会だ。そして3県の12市町に隣接する交通の要衝でもある。すぐ北の茨城県古河市もそうだが、買い物や通学で県境をまたぐことは当たり前の土地柄でもある。

関連記事

トピックス

野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
8月20日・神戸市のマンションで女性が刺殺される事件が発生した(右/時事通信フォト)
《神戸市・24歳女性刺殺》「エレベーターの前に血溜まり、女性の靴が片方だけ…」オートロックを突破し数分で逃走、片山恵さん(24)を襲った悲劇の“緊迫の一部始終”
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
決勝の相手は智弁和歌山。奇しくも当時のキャプテンは中谷仁で、現在、母校の監督をしている点でも両者は共通する
1997年夏の甲子園で820球を投げた平安・川口知哉 プロ入り後の不調について「あの夏の代償はまったくなかった。自分に実力がなかっただけ」
週刊ポスト
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン