営業を続けるパチンコ店に行列(時事通信フォト)

営業を続けるパチンコ店に行列(時事通信フォト)

「上崎やべえぞ、あの車、伊豆だってよ、こっちは富士山?」

 野田弁で富田くんが私の本名ごとまくしたてる。野田市は埼玉県と茨城県に挟まれた細長い土地である。だから春日部、越谷といった埼玉のナンバーやつくば、土浦といった茨城ナンバーは普段から珍しくもない。取材の前に立ち寄った野田のショッピングモールの駐車場もこんな感じだった。しかしパチンコ屋のナンバーを見れば隣接外の足立、品川、練馬、横浜、川崎、群馬、とちぎ、と関東中から集結していた。それどころか札幌、新潟、仙台、尾張小牧、金沢、堺、なにわ、北九州である。転勤や赴任でそのまま乗っている人や車庫飛ばしの人もいるだろうが、まず野田では見かけない。日本中からコロナ何するものぞのパチンカーが集結していると言っていいだろう。

「そうか、煙草は吸えなくなったんだよな、並んでんのかと思ったよ」

 二箇所ある入り口は煙草を吸う客でいっぱいだった。4月1日から改正健康増進法により例外を除く屋内は原則禁煙となった。さすがにこの店もそれは守っている。私も富田くんも煙草は吸わないのでその辺疎い。

「意外と出してるな、それくらい儲かるってことか」

 ホール内、轟音の中、富田くんが見回して私に耳打ちする。実は私はパチンコを打ったことがない。パチンコが得意な出版社で編集人までしていたのにおかしな話だが、なぜか興味を持たないままにこの年まで来てしまった。店そのものには昭和の幼少期、父親に連れられて何度か来たが、パチンコは打ったとこがない。だから専門的なことどころか玉の買い方も知らない。そもそもギャンブル全般、宝くじも買ったことがないし競馬も競輪も競艇もオートもしない。駆け出しのころはスポーツ新聞社で馬番や車番を入力していたこともあったのに。人それぞれだが、私は時間がもったいないと思う口だ。

「やだなあ、絶対出ないだろうな、こんなとこ、まあ上崎の金だからいいけどさ」

◆出玉は期待してないよ。打ちたいんだ、まあ趣味みたいなもん

 富田くんいわく、玉を出さなくても人が来る状況なら出さないのではないかという話だ。つまりホールにお布施をするだけということになる。だがそれでいい。富田くんに来てもらったのは疎い私を案内、説明してもらうことと、実際に打ってもらうためである。穴に入れればいい仕組みは知っているが、リーチだ確変だはチンプンカンプンだ。それでも私は某アニメの台だったのでまだ親しみが湧いた。近くのおっさんもおばさんも、このアニメもキャラクターも知らないだろう。ちなみに私は某アニメを題材にしたパチンコ台の監修をしたこともある。もちろん現物を打ったことはないが、金払いはよかった。アニメ業界がパチンコ業界に食わせてもらっているのは周知の事実だ。

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