『ASAYAN』や『ラストアイドル』がそうだったように、オーディション番組は明暗がはっきり分かれるため、その映像はシビアなものになりがちですが、『Nizi Project』はどこか温かいムードが漂っています。その理由は、K-POPのカリスマプロデューサー・J.Y.Parkさんの存在。J.Y.Parkさんは持ち前の洞察力と情熱で練習生たちと向き合い、「長所や成長した点を的確にホメて、気持ちの未熟さを鋭く指摘する」などの優しさと厳しさを見せて、番組を盛り上げる演出にもひと役買っています。
最初から世界を目指したプロジェクト、ルックスよりスキルや成長力重視の方針、オーディションでの長期合宿、ネットをフル活用したPRなど、日本の既存アイドルグループとは戦略がまったく違うため、ネット上に「モノが違う」などの称賛が飛び交っているのは当然でしょう。スキルの高さに加えて、デビュー前からこれだけファンがいるのなら成功は半ば約束されたようなものであり、語学の問題もクリアできるメンバーだけに世界的な活躍も期待できそうです。
時折、「韓国人がプロデュースするグループなんて応援しない」という声も見られますが、韓国人の朴柱奉ヘッドコーチが就任してからバドミントン日本代表が世界一のチームになったように、日本の少女たちが優秀なプロデューサーとプロジェクトに出会い、世界的なガールズグループになれば誇らしいのではないでしょうか。
ここまではスキル、プロジェクトともに申し分ないだけに、よほどのアクシデントがない限り、近い将来デビューした彼女たちを日本中の人々が知ることになるでしょう。言わば、「注目するのが早いか遅いか」の違いに過ぎないだけに、未見の人はこの段階で一度チェックしてみてください。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。