国内

営業再開はしたけれど… パチンコ店に「かつてない逆風」

パチンコ店の営業には十分に注意を払っているが……(NurPhoto)

パチンコ店の営業には十分に注意を払ってきたが……(NurPhoto)

 新型コロナウイルスの感染を防ぐために密集、密閉、密着の「3密」になりやすい場所、その代表格として注目を集め続けたパチンコ業界は、近年、苦境にある。2019年6月に公表された帝国データバンクの調査によると、パチンコホール売上高は4年連続で減少、倒産件数も2年連続で増加している。今回の自粛による営業休止は、パチンコをめぐる環境にどんな変化をもたらしそうなのか。ライターの森鷹久氏が、事業存続に悩むパチンコ経営者の苦悩をレポートする。

 * * *
「ゴールデンウィーク明けから営業を再開しましたが、かつてないほどの逆風を感じています。コロナ以前でも売り上げが落ちていたのに、もはや先はない。ゲームセンターの運営や飲食店経営にも乗り出しましたが、こちらも休業でやらないほうがよかった、といった状況」

 筆者の電話取材にか細い声でこたえたのは、九州地方のパチンコチェーン店幹部・Y氏(30代)。祖父の時代から現在まで、地元に根ざした遊技場、いわゆる「パチンコ・スロット店」の経営を家業としてきた。1990年代の最盛期には十数店を展開、社員数も500名以上を数え、Y氏一族は地元の名士の名を欲しいままにしてきた。

 ところがこの十数年、遊技場を取り巻く環境は一変。ギャンブル依存症が社会問題化し、経営体制のグレーな部分が公然と批判されるようになると、利用者数も激減。法改正も相次ぎ「儲かる遊技台」の使用が次々に規制され、客離れはより顕著になった。そこにきて、今回の「コロナ騒ぎ」で、遊技場経営者は「悪のレッテル」を貼られることとなった。

「パチンコ・スロット店は休業要請の対象でしたが、一ヶ月近く店を閉めて、数十万円とか100万円の休業協力金では何の足しにもならない。単店舗でも1日1千万円以上が動くことで成り立っているので、とにかく開けておくしかない。店を開けていると、マスコミが取材に来たり、右翼の街宣車がうろちょろしたり……。商店街からも白眼視され、店には嫌がらせの電話や投書も相次ぎました」(Y氏)

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《総スカン》違法薬物疑惑で新浪剛史サントリー元会長が辞任 これまでの言動に容赦ない声「45歳定年制とか、労働者を苦しめる発言ばかり」「生活のあらゆるとこにでしゃばりまくっていた」
NEWSポストセブン
「第42回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出席された佳子さま(時事通信フォト)
《ヘビロテする赤ワンピ》佳子さまファッションに「国産メーカーの売り上げに貢献しています」専門家が指摘
NEWSポストセブン
王子から被害を受けたジュフリー氏、若き日のアンドルー王子(時事通信フォト)
《エプスタイン事件の“悪魔の館”内部写真が公開》「官能的な芸術品が壁にびっしり」「一室が歯科医院に改造されていた」10代少女らが被害に遭った異様な被害現場
NEWSポストセブン
香港の魔窟・九龍城砦のリアルな実態とは…?
《香港の魔窟・九龍城砦に住んだ日本人》アヘン密売、老いた売春婦、違法賭博…無法地帯の“ヤバい実態”とは「でも医療は充実、“ブラックジャック”がいっぱいいた」
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン