◆学習面以外こそ私学の「魅力」
このように、学習面で熱心にオンライン教育を実施している学校がたくさんあることに感心するが、今回再認識したのはそれ以外の面での“私学らしさ”だった。
休校期間の長期化で問題となるのは先生、友だちとのコミュニケーション不足であり、それに伴う精神安定の危うさである。部活、学校行事、委員会活動すべてがストップし、生徒は精神的成長の機会を奪われている。こうした中で目にしたケースをいくつか挙げてみよう。
【鴎友学園女子】
鴎友は高1からは授業で使うデバイスをBYOD(Bring Your Own Device)にしている。ICT機器は文房具なのだから、教えやすさよりも生徒が使い慣れたものでいこうという判断だ。教室にはふつうに机の上にスマホがある。そうした姿勢であるから今回も、zoom、Google Classroom、スプレッドシート、Google Forms、チャット、YouTubeなどをシーンごとに適宜組み合わせて対応している。先生も生徒もIT機器に熟達している。
休校中でも生徒会や委員会はオンライン上で活動しており、9月の学園祭についてもつい最近生徒の実行委員会が「オンライン学園祭」の提案を出してきたという。
コロナ禍で、学習面以外でも学校のシーンはずいぶん変わってきているのである。精神面ではこんな配慮をしているという現場の先生メールをもらった。
【湘南学園】
「お子様、保護者の方々の心のサポート態勢を整え『保健室特設サイト』を開設しました」
【大妻中野】
「カウンセラー(2名)には、すでに学校貸与の携帯電話を郵送済みです。全生徒・保護者からの個別相談を受けられる態勢もできています」
いかにも私学らしいと感じたのは下記のメールである。
【青山学院横浜英和】
「私がいちばん気になったのは、生徒たちが聖書の言葉から離れてしまう、ということでした。で、すぐにHPのトップに毎日、「今日の聖句」と祈りの課題を載せることにしました」
そして、自分の学校、生徒を愛し、命がけで取り組む姿勢を感じたものがこれである。
【光塩女子学院】
〈在学中から御薫陶賜わったシスター、先生からバトンを引き継ぐ今、身の引き締まる粛然たる思いで襟を正しております。 混沌とした世界情勢においても本質を見抜き、人間に特有の意味と価値を発見できる底力を涵養するための学びの場の充実に命を賭けて励む所存です〉(4月1日に就任した新任校長の挨拶文の一部)