教職員によるテレワーク合唱で生徒たちを励ました静岡聖光学院(同校のYouTube動画より)
今回のコロナ禍に直面して、学校として「いかに学びを維持していくか」が最大の使命になった。必然的にオンライン化であり、高齢の先生にとっては慣れないデジタル対応を迫られることになった。次はベテラン教員からのメールである。
【女子美術大学付属】
「とても不幸な事態ですが、『よいこと』にも気が付きました。まず、教職員の結束です。私学はどこもそうなのかもしれませんが、教職員が『家族』のような存在なので、思いやりながら互いに助け合って、皆で乗り越えようという雰囲気が生まれました。
次に、デジタルネイティブ世代の教員の頼もしさ。自分の娘や息子のような世代の教員が、ICTチームとしてシステムを提案し、休日返上で徹夜しても笑顔で忍耐強く楽しんで仕事をしていること。ただただ頭が下がります」
団結はこんなところにもみられた。教職員全員で生徒を励ます「テレワーク合唱」だ。
【静岡聖光学院】
ピアノを弾いたり、踊ったり、腕立て伏せをしたり、野菜を高く掲げる教員も、事務員を含め全員が登場する動画である。こればかりはご覧になっていただきたい。
図らずも今回メールのやり取りをしたり、HPをのぞいたりして、改めて私学としての「個性」「独自性」、先生たちの「熱意」「経験」、学校としての「深み」などを感じることになった。
今年は合同相談会がことごとく中止になり、また模擬試験等も自宅受験になったりして、中学受験の学校選択はこれまでと様変わりせざるを得ない。必然的に各校のHPをのぞくケースが増えるだろう。すると、偏差値や大学合格実績、合格可能性といった数字的、客観的なものではなく、今回私が感じたような私学の本来の「価値」を自分の眼で発見する保護者が増えるのではないか。
経済が厳しくなるからといった漠然とした印象ではなく、以上のようにシーンごとに具体的に見ていくと、案外中学受験人口は減らないのではないかと考えるようになった次第である。