《リモートワークと外出自粛でイライラして、赤ちゃんを叩いてしまいます。その場から離れても、戻ってきたときにまだ泣いていると、やっぱりイライラしてしまう。絶対にダメだとわかっているのに、今日、子供を乱暴に床に置いてしまいました》

 大人は前述のような暴力やネグレクトといったわかりやすい行為にばかり目がいくが、一方で、子供たちから届く相談は「死ねと怒鳴られた」「家から出ていけと言われた」といった心理的虐待に関するものも多い。

《両親の喧嘩が収まりません。家が狭くて、逃げ場がない。外も、家も怖いです》《お父さんがお母さんをなぐります。わたしにできることはありますか》──

 両親のけんかや暴力を毎日見せることも、立派な虐待だ。

◆どんな親だって虐待の可能性がある

 積もり積もったストレスを子供にぶつけてしまう、子供の目の前で爆発させてしまう──温かいはずのわが家が“コロナ虐待”の現場になってしまうのはなぜなのか。母娘関係専門カウンセラーの高橋リエさんは「子供に理不尽に怒りをぶつけてしまう原因は“過去の恐怖”」だと話す。

「ご自身の子供の頃を思い出してください。ほとんどの人が親から“なんでこぼすの!”と叩かれたり、“早くしなさい!”と怒鳴られたりした記憶があるはず。いまは“厳しくしつけてもらった”“苦労をかけた”と親に感謝していても、子供の当時は“怖い”“痛い”“嫌だ”などと強く思ったはず。どんなに親に感謝していても、怖い思いをした記憶とは別物で、大人になっても消えません。

 自分の子供がかつての自分と同じシチュエーションになると、無意識にわが子とかつての自分を重ね合わせ、“怒られて怖かった”という思いがわいてきます。すると、恐怖に対処するために怒りの感情となって勝手に表れるんです」(高橋さん・以下同)

 虐待の“素養”は、誰にでもあるということ。いまのストレスフルな状況が恐怖に拍車をかけ、虐待を招いているのだ。

◆目をそらさず子供の顔を見つめてわれに返る

 多大なストレスを理性で抑え込む苦労は並大抵ではない。わが子に向けないためには、どうすればいいのだろうか。

「親に厳しく叱られた」という当たり前の体験が原因になっている以上、打開策は“対処療法”しかない。

 過去の恐怖と怒りでわれを失っているのを、強制的にクールダウンさせるには、いちど怒りから“意識をそらす”のがいい。

「例えば、手が出そうになったら、冷蔵庫の扉を両手で触ったり、氷を握りしめたりして冷たさを感じる。太ももなどを軽く叩いて痛みを感じる。“部屋の中にある赤いものを数える”など、自分の五感に集中するような行為は、気持ちを落ち着かせてくれます」

関連記事

トピックス

手を繋いでレッドカーペットを歩いた大谷と真美子さん(時事通信)
《産後とは思えない》真美子さん「背中がざっくり開いたドレスの着こなし」は努力の賜物…目撃されていた「白パーカー私服での外出姿」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこ(45)の自宅マンションで身元不明の遺体が見つかってから2週間が経とうとしている(Instagram/ブログより)
《遠野なぎこ宅で遺体発見》“特殊清掃のリアル”を専門家が明かす 自宅はエアコンがついておらず、昼間は40℃近くに…「熱中症で死亡した場合は大変です」
NEWSポストセブン
俳優やMCなど幅広い活躍をみせる松下奈緒
《相葉雅紀がトイレに入っていたら“ゴンゴンゴン”…》松下奈緒、共演者たちが明かした意外な素顔 MC、俳優として幅広い活躍ぶり、174cmの高身長も“強み”に
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン