ビジネス

コロナ禍で健闘のダイハツ 「ロッキー」販売増が示す新潮流

4月も販売好調だったダイハツ「ロッキー」

4月も販売好調だったダイハツ「ロッキー」

 新型コロナウイルスによる影響が明確に出始めた国内の自動車販売。5月11日に発表された4月のデータによれば、登録車の販売は昨年4月に対して25.5%マイナス。全国緊急事態宣言が発令され、外出が盛んでなかった割には善戦しているようにも見えるが、各メーカーが軒並み前年比大幅マイナスと、等しく影響を受けているのは、やはりただごとではない。

 そんな中、普通車の販売で唯一、大幅プラスを記録したブランドがあった。軽自動車が主力のダイハツ工業である。昨年4月に対する伸び率は何と26%。主力の軽自動車が3割近く減ってしまったのを補うにはほど遠いが、十分以上に健闘しているといえよう。

 もちろん、この伸び率の高さにはカラクリがある。昨年11月に投入した小型SUVの新商品「ロッキー」の販売が好調で、その上乗せ効果が大きかったからだ。

 もともとダイハツは普通車の販売台数はごく少ない。ちょっと販売好調ならばすぐに前年比で大幅増になってしまうので、26%増という数字自体を論じることには、さしたる意義はない。それよりも販売実績で興味深いのは、実は絶対的な台数以外の部分にある。

 ダイハツと言えばトヨタ自動車の100%子会社。トヨタグループ内のタスクは軽自動車、 および新興国向けの低コスト小型車作りだ。主力はあくまで軽自動車。普通車はダイハツ 専用商品がなく、たとえばAセグメントベーシックカー「ブーン」はトヨタ「パッソ」、 Aセグメントトールワゴンの「トール」はトヨタ「タンク」「ルーミー」、スバル「ジャスティ」と、OEM供給がなされる。

 ダイハツブランドとOEMブランドで台数が圧倒的に稼げているのは、トヨタブランドでの販売だ。パッソとブーンは台数の比率が10:1以上に開いており、ほとんどトヨタ専用車に近い状況。タンク/ルーミーとトールも良くて5:1、月によってはそれ以下だ。

 ロッキーもトヨタに「ライズ」の名でOEM 供給され、もちろん販売台数はライズのほうが多い。が、ロッキーはこれまでのダイハツ製普通車と異なり、ダイハツブランドでの受注の比率が高かった。

 発売後1か月経過時の受注台数は合計4万7000台と、スマッシュヒットと言っていい水準に達したが、その内訳はライズが3万2000台、ロッキーが1万5000台。月別販売もトヨタブランドに対して3~4割くらいの水準をキープしている。ダイハツが普通車でこれだけの存在感を示せたのは、昭和時代のリッターカー「シャレード」以来だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン