スポーツ

金村義明氏「槙原のボールを見なければ投手のままだった」

1981年夏、報徳学園で優勝(時事通信フォト)

 高校球児にとって、夏の甲子園が中止になったショックは計り知れない。そんな今だからこそ、実際にその座を掴んだ元スター球児に聞いてみた。もし甲子園がなかったら、あなたの人生はどうなっていましたか──。

 兵庫県宝塚市で生まれ育った金村義明氏(56)は、幼い頃から、自宅から電車で30分の距離にある甲子園に強く憧れた。

「ウチは決して裕福ではなかったので、泣きながら土下座をして親に頼み、野球の名門・報徳学園に入学させてもらいました。僕のために親を死ぬほど働かせたので、裕福な家庭の子供とは野球に対する思い入れが違いました。

 あの夏の甲子園優勝がなければ、僕はプロから注目されず、ドラ1で近鉄と阪急から指名されることはなかったはずです。ただ僕は小学校の頃から阪急ブレーブスの大ファンで阪急の選手になりたかったので、たとえ甲子園が中止になってドラフトで指名されなくても野球を続けて、テスト生としてでもプロになるつもりでした。ぶっちゃけた話、ボクにとっては甲子園に優勝したことで、契約金が上がったというだけのこと(笑い)」

 金村氏が今なお鮮明に記憶するのは、1981年センバツでの経験だ。

「1回戦で大府高(愛知)と対戦して負けましたが、相手のエースだった槙原寛己の剛速球に度肝を抜かれました。あんな球を投げる投手がいるならプロでピッチャーは無理だと思い、投手として指名されましたがプロ入り後は内野手に転向しました。高3の時は自信過剰だったけど、見事に鼻っ柱をへし折られました。他にも凄い投手がたくさんいましたが、槙原との対戦がなかったら、プロでも投手で勝負していたかもしれません」

なぜ投手の道を諦めたのか

【金村義明:1981年夏、報徳学園(兵庫)で優勝。エースで4番として活躍し、大会通算打率は5割4分5厘】

※週刊ポスト2020年6月12・19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

水原一平氏はカモにされていたとも(写真/共同通信社)
《胴元にとってカモだった水原一平氏》違法賭博問題、大谷翔平への懸念は「偽証」の罪に問われるケース“最高で5年の連邦刑務所行き”
女性セブン
解散を発表した尼神インター(時事通信フォト)
《尼神インター解散の背景》「時間の問題だった」20キロ減ダイエットで“美容”に心酔の誠子、お笑いに熱心な渚との“埋まらなかった溝”
NEWSポストセブン
富田靖子
富田靖子、ダンサー夫との離婚を発表 3年も隠していた背景にあったのは「母親役のイメージ」影響への不安か
女性セブン
尊富士
新入幕優勝・尊富士の伊勢ヶ濱部屋に元横綱・白鵬が転籍 照ノ富士との因縁ほか複雑すぎる人間関係トラブルの懸念
週刊ポスト
大ヒットしたスラムダンク劇場版。10-FEET(左からKOUICHI、TAKUMA、NAOKI)の「第ゼロ感」も知らない人はいないほど大ヒット
《緊迫の紅白歌合戦》スラダン主題歌『10-FEET』の「中指を立てるパフォーマンス」にNHKが“絶対にするなよ”と念押しの理由
NEWSポストセブン
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン