ライフ

予約1か月待ち、「子育てにちょうどいいミシン」開発秘話

子育てに特化した簡単で手軽なミシンが登場

 現在、予約1か月待ちのミシンがあることをご存じだろうか? それが『子育てにちょうどいいミシン』(1万円、別売りの刺繍キット3000円、幅29.4×奥行き11.5×高さ26.5cm、約2.1kg)だ。

 この手軽で簡単なミシンの開発のきっかけとなったのは、ミシンメーカー代表のある経験からだった。

 アックスヤマザキは、大阪府大阪市にあるミシンメーカーだ。創業は昭和21年。『子育てにちょうどいいミシン』の開発を行ったのは、三代目で現在代表取締役を務める山崎一史さんである。

 昔は一家に一台はミシンを所有している家庭が多かったが、いまではミシンがある家庭は多くはない。ミシンの出番でもっともポピュラーなのは、子供の入園・入学グッズを揃えるタイミングだろう。

 だが、手提げ袋や上履き入れなど、家庭で手作りしてみたいという意欲を持つ人は多いものの、「ミシンは難しそう」「置く場所がない」という理由からハードルを高く感じてしまう人がほとんどだ。

 かくいう山崎さんの妻も、ミシンを使うことをためらっていた1人だった。ただ、一生に一度のことと、子供の入園をきっかけにミシンを使って幼稚園グッズを作ってみたのだという。ミシンを使って裁縫をはじめると、自分のものを作ってもらっているとわかる子供は、そばで飽きもせずにずっと見ていたそうだ。

「夜遅い時間の作業だったのですが、寝ずにずっと見ているんですよ。自分が選んだ布が形になっていくのが面白かったんでしょうね。出来上がったものに大喜びの子供を見て、妻は少し涙を堪えながら『ミシンってすごいね』と話してくれたんです。それで、多くの人に同じような感動や達成感を味わってもらいたいと思いました」と山崎さん。

 山崎さんは、「ミシンは難しい」というハードルをクリアするために、子育てに特化した、簡単で手軽なミシンを作ろうと考えた。さっそく子育て中の母親に集まってもらい意見を聞いたところ、ミシンが難しいというイメージの要因の1つに使い方の問題があることがわかった。

 そこで、針の取り付け方や糸のかけ方、トラブルシューティングの解決法などをスマホを使い、動画で見られるようにした。また、いままでのミシンはデザイン性を考慮したものがあまりなかったため出しっぱなしにしづらく、見えない場所にしまったまま使われなくなってしまうことが多かった。『子育てにちょうどいいミシン』は、ブラックでマットなデザイン。スタイリッシュな部屋にもなじみやすい。ミシン初心者のために、機能はシンプル。操作ボタンも必要最小限だが、骨組みはアルミ素材を使用ししっかりとした強度を確保しているため、デニム生地は4枚まで重ね縫いができる。

 発売に先立って特設WebサイトやInstagramアカウントを開設すると、予想以上の反響があり、初回入荷分はほぼ完売となった。いまではメディアで紹介された影響もあり、注文から1か月待ちという人気だという。近い将来、ミシンが一家に一台の時代がまた訪れるかもしれない。

安全針カバーは、取り外すとスマホ用スタンドに。動画を見ながら作業することができる。各種グッズの作り方動画も随時公開予定

※女性セブン2020年6月11日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

世界中でセレブら感度の高い人たちに流行中のアスレジャーファッション(左・日本のアスレジャーブランド「RUELLE」のInstagramより、右・Backgrid/アフロ)
《広瀬すずもピッタリスパッツを普段着で…》「カタチが見える服」と賛否両論の“アスレジャー”が日本でも流行の兆し、専門家は「新しいラグジュアリーという捉え方も」と解説
NEWSポストセブン
浅香さんの自宅から姿を消した内縁の夫・世志凡太氏
《長女が追悼コメント》「父と過ごした日々を誇りに…」老衰で死去の世志凡太さん(享年91)、同居するスリランカ人が自宅で発見
取締役の辞任を発表したフジ・メディア・ホールディングスとフジテレビ(共同通信社)
《辞任したフジ女性役員に「不適切経費問題」を直撃》社員からは疑問の声が噴出、フジは「ガバナンスの強化を図ってまいります」と回答
NEWSポストセブン
子宮体がんだったことを明かしたタレントの山瀬まみ
《“もう言葉を話すことはない”と医師が宣告》山瀬まみ「子宮体がん」「脳梗塞」からの復帰を支えた俳優・中上雅巳との夫婦同伴姿
NEWSポストセブン
愛子さま(写真/共同通信社)
《12月1日がお誕生日》愛子さま、愛に包まれた24年 お宮参り、運動会、木登り、演奏会、運動会…これまでの歩み 
女性セブン
海外セレブの間では「アスレジャー
というファッションジャンルが流行(画像は日本のアスレジャーブランド、RUELLEのInstagramより)
《ぴったりレギンスで街歩き》外国人旅行者の“アスレジャー”ファッションに注意喚起〈多くの国では日常着として定着しているが、日本はそうではない〉
NEWSポストセブン
虐待があった田川市・松原保育園
《保育士10人が幼児を虐待》「麗奈は家で毎日泣いてた。追い詰められて…」逮捕された女性保育士(25)の夫が訴えた“園の職場環境”「ベテランがみんな辞めて頼れる人がおらんくなった」【福岡県田川市】
NEWSポストセブン
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
【複雑極まりない事情】元・貴景勝の湊川親方が常盤山部屋を継承へ 「複数の裏方が別の部屋へ移る」のはなぜ? 力士・スタッフに複数のルーツが混在…出羽海一門による裏方囲い込み説も
NEWSポストセブン
アスレジャースタイルで渋谷を歩く女性に街頭インタビュー(左はGettyImages、右はインタビューに応じた現役女子大生のユウコさん提供)
「同級生に笑われたこともある」現役女子大生(19)が「全身レギンス姿」で大学に通う理由…「海外ではだらしないとされる体型でも隠すことはない」日本に「アスレジャー」は定着するのか【海外で議論も】
NEWSポストセブン
中山美穂さんが亡くなってから1周忌が経とうとしている
《逝去から1年…いまだに叶わない墓参り》中山美穂さんが苦手にしていた意外な仕事「収録後に泣いて落ち込んでいました…」元事務所社長が明かした素顔
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)(Instagramより)
《俺のカラダにサインして!》お騒がせ金髪美女インフルエンサー(26)のバスが若い男性グループから襲撃被害、本人不在でも“警備員追加”の大混乱に
NEWSポストセブン
(左から)中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏の人気座談会(撮影/山崎力夫)
【江本孟紀・中畑清・達川光男座談会1】阪神・日本シリーズ敗退の原因を分析 「2戦目の先発起用が勝敗を分けた」 中畑氏は絶不調だった大山悠輔に厳しい一言
週刊ポスト