スポーツ

前田幸長氏「甲子園の予選に出られなかったらグレていたかも」

1988年夏、福岡第一高校で準優勝(時事通信フォト)

 高校球児にとって、夏の甲子園が中止になったショックは計り知れない。そんな今だからこそ、実際にその座を掴んだ元スター球児に聞いてみた。もし甲子園がなかったら、あなたの人生はどうなっていましたか──。

 準優勝という輝かしい成績を残した前田幸長氏(49)だが、大会前は出場そのものが危ぶまれていた。

「高校2年生の2月に体育のサッカーで右足を骨折し、無理に出場したセンバツは初戦であえなく敗退しました。直後に部員の暴力事件が発覚して3か月の対外試合禁止となり、甲子園出場を半ばあきらめていたところ、夏の福岡県予選が始まる直前に奇跡的に処分が解除されたんです」

 県予選を突破したチームは甲子園を勝ち進み、決勝戦で広島商(広島)に敗退。

「夏の甲子園でも絶対に勝ちたいという雰囲気ではなく、『センバツは1回戦で負けたから、ひとつ勝てば後は夏休みでいいじゃん』という感じでした。偶然が重なって勝ち進んだ印象なので、逆にもっと一生懸命やっておけばよかった(苦笑)」

 1988年ドラフト1位でロッテオリオンズに入団し、1年目から開幕ローテーションを任された。プロ19年で78勝を挙げた前田氏は、「甲子園がなくてもプロになっていた」と語る。

「高校2年の段階からスカウトが見にきていて、ドラフトにかかると勝手に思っていました。たとえ甲子園が中止になっていても、下位でしょうが指名されプロ入りしていたはずです。同世代の選手には負けないという絶対的な自信がありました。あのまま部員の不祥事で夏の県予選に出場できなかったら、長い夏休みが始まっていたので、グレていた可能性はありますけどね(苦笑)」

【前田幸長:1988年夏、福岡第一高(福岡)で準優勝。エースとして活躍し、4番の山之内健一とチームを引っ張った】

※週刊ポスト2020年6月12・19日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、インスタに投稿されたプライベート感の強い海水浴写真に注目集まる “いいね”は52万件以上 日赤での勤務をおろそかにすることなく公務に邁進
女性セブン
岐路に立たされている田久保眞紀・伊東市長(共同通信)
“田久保派”の元静岡県知事選候補者が証言する “あわや学歴詐称エピソード”「私も〈大卒〉と勝手に書かれた。それくらいアバウト」《伊東市長・学歴詐称疑惑》
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「少女を島に引き入れ売春斡旋した」悪名高い“ロリータ・エクスプレス”にトランプ大統領は乗ったのか《エプスタイン事件の被害者らが「独自の顧客リスト」作成を宣言》
NEWSポストセブン
東京地裁
“史上最悪の少年犯罪”「女子高生コンクリート詰め事件」逮捕されたカズキ(仮名)が語った信じがたい凌辱行為の全容「女性は恐怖のあまり、殴られるままだった」
NEWSポストセブン
「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路とは…(写真/イメージマート)
【1500万円が戻ってこない…】「高級老人ホーム」に入居したある70代・富裕層男性の末路「経歴自慢をする人々に囲まれ、次第に疲弊して…」
NEWSポストセブン
橋幸夫さんが亡くなった(時事通信フォト)
《「御三家」橋幸夫さん逝去》最後まで愛した荒川区東尾久…体調不良に悩まされながらも参加続けていた“故郷のお祭り”
NEWSポストセブン
麻原が「空中浮揚」したとする写真(公安調査庁「内外情勢の回顧と展望」より)
《ホーリーネームは「ヤソーダラー」》オウム真理教・麻原彰晃の妻、「アレフから送金された資金を管理」と公安が認定 アレフの拠点には「麻原の写真」や教材が多数保管
NEWSポストセブン
”辞めるのやめた”宣言の裏にはある女性支援者の存在があった(共同通信)
「(市議会解散)あれは彼女のシナリオどおりです」伊東市“田久保市長派”の女性実業家が明かす田久保市長の“思惑”「市長に『いま辞めないで』と言ったのは私」
NEWSポストセブン
二刀流復帰は家族のサポートなしにはあり得なかった(getty image/共同通信)
《プールサイドで日向ぼっこ…真美子さんとの幸せ時間》大谷翔平を支える“お店クオリティの料理” 二刀流復帰後に変化した家事の比重…屋外テラスで過ごすLAの夏
NEWSポストセブン
左から広陵高校の34歳新監督・松本氏と新部長・瀧口氏
《広陵高校・暴力問題》謹慎処分のコーチに加え「残りのコーチ2人も退任」していた 中井監督、部長も退任で野球経験のある指導者は「34歳新監督のみ」 160人の部員を指導できるのか
NEWSポストセブン
鉄板焼きデートが目撃されたKing & Princeの永瀬廉、浜辺美波
《デートではお揃い服》お泊まり報道の永瀬廉と浜辺美波、「24時間テレビ」放送中に配慮が見られた“チャリT”のカラー問題
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン