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藤井聡太七段 将棋界の未来を懸けた「超過密日程」の影響

初タイトル獲得を目指す

 6月8日の棋聖戦5番勝負第1局で、藤井聡太七段(17)が10時間を超える死闘の末に渡辺明棋聖(36)を破り、好スタートを切った。17歳10か月20日でのタイトル挑戦では、これまでの最年少記録を「4日」更新。31年ぶりとなる新記録に勝利で花を添えた。

 両者ともに集中力を高めるためか、対局終盤でマスクを外し、息詰まる大熱戦となった。実は藤井七段の最年少記録更新への“難敵”となったのが新型コロナの感染拡大だった。観戦記者が語る。

「将棋連盟は4月11日以降、100km以上の移動を伴う対局を休止、延期した。対局の多くが東京と大阪の将棋会館で行なわれるため、愛知県在住の藤井七段は4月10日の王位戦挑戦者決定リーグ(大阪)後、対局ができなかった」

 棋聖戦の日程への影響も大きかった。

「藤井七段が棋聖戦の挑戦者決定トーナメントを勝ち抜き、最年少でのタイトル挑戦を達成するには、6月11日までに5番勝負を開幕する必要があった。非常事態宣言解除後、6月2日に準決勝、同4日に決勝を行ない、中3日で5番勝負突入という超過密スケジュールになったのは、記録達成の“アシスト”でしょう」(前出・観戦記者)

 将棋ライターの松本博文氏もこう話す。

「挑戦者決定から中3日で5番勝負を行なうのは異例中の異例。暗い話題の多い将棋界で、藤井七段の記録達成は関係者や多くのファンが期待している。将棋連盟としては藤井人気を追い風とし、新たな将棋ファンとタイトル戦を支えるスポンサーを獲得したいという思惑があるのでしょう。いずれにせよ、この過密スケジュールの中で勝ち進んでいく彼の実力には驚くばかりです。タイトル獲得の最年少記録更新にも期待が高まります」

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