子供に教えるときは「直接的」なほうが効果あり
例えば大声で“使ったクレヨンはどうするのかな”と言うと、子どもは単に怒られているのか、質問にどう答えればいいか、混乱してしまいます。そういうときは『ふつうの声』で、“使ったクレヨンを元の場所に置いてください”と『直接的に命令形で』伝えることで、子どもが期待されていることを明確にすることができます」
また、「走らないで!」といった禁止する言い方は、子どもの行動を批判するだけで、どうしたら良いかを伝えるものではないため、混乱するだけという。子どもが待合室で走り回っているときは、「走らないで!」の代わりに、「お母さんの隣に座っていてください」と言えば、何をしたら良いかが伝わる。
アメリカで開発されたPCITは、今ではヨーロッパ、オーストラリア、台湾や韓国にも広がっているという。今まで日本には、こうした具体的な“しつけの仕方”を学ぶという文化はなかったが、これからはそうしたスキルが必須となるのかもしれない。
【プロフィール】加茂登志子(かも・としこ)/元東京女子医科大学教授。東京都女性相談センター嘱託医、東京女子医科大学付属女性障害健康センター所長を経て、若松町こころとひふのクリニックPCIT研修センター長。一般社団法人日本PCIT研修センター所長。
近著に『PCITから学ぶ子育て』(小学館)がある。
肯定的な言葉で伝える