ビジネス

スズキ創立100周年の「試練」 コロナとインドでダブルパンチ

主力市場のインドがコロナで大打撃(EPA=時事通信フォト)

主力市場のインドがコロナで大打撃(EPA=時事通信フォト)

 3月15日に創立100周年を迎えた自動車メーカーのスズキ。だが、そんな記念の年に世界中を襲った新型コロナの影響をもろに受け、最大の危機を迎えている。果たしてスズキはこの試練を乗り切ることができるのか──。ジャーナリストの有森隆氏がレポートする。

 * * *
 100年前の第一次世界大戦中の1918(大正7)年から翌年にかけて、スペイン風邪が世界的に流行した。日本では約2300万人の患者と、およそ38万人の死者が出たと記録されている。

 戦後恐慌の最中の1920(大正9)年3月15日、鈴木式織機製作所が静岡県浜名郡天神村(その後浜松町、現・浜松市)で設立された。初代社長は鈴木道雄である。

 それから100年──。スズキは新型コロナウイルスの直撃を受け、日本やインドで新車販売がガタ減りとなった。インドはスズキにとって最重要市場である。コロナとインドのダブルパンチを喰らったわけだ。100年目の実に重たい試練である。

「日本は完成車の不正問題、インドは市場の回復の遅れがあり、(決算)期末にはコロナの影響があった。色々な問題を抱える中での結果だ」

 スズキ社長の鈴木俊宏は5月26日、連結業績をこう総括した。

 2020年3月期の連結決算は、売上高が前の期に比べて10%減の3兆4884億円、純利益は25%減の1342億円だった。四輪車の世界販売台数は285万台で14%減った。このうち、インドが18%減と大きく落ち込み143万台。日本は7%減の67万台となった。

 同期間の国内の軽自動車の新車販売台数は、ホンダの「N-BOX」が断トツの首位。2位はダイハツ工業の「タント」。ススギの「スペーシア」は3位だが、日産自動車の「デイズ」に並ばれた。スズキの「ワゴンR」「アルト」「ハスラー」の販売台数は前年実績割れ。「販売のスズキの面影はいずこに」(軽業界の重鎮)といわれるような惨憺たる結果を招いた。

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、4月に緊急事態宣言が発出され、外出自粛や店舗休業が続くなかで販売が一段と低迷。各社の5月の軽自動車の新車販売台数は前年より半減、8か月連続で減少した。

 現在、緊急事態宣言が解除され、販売店に少しずつユーザーは戻りつつあるが、すぐに販売に結びつくわけではない。

ターボモデルの販売比率アップに期待高まるスズキ・新型ハスラー

昨年12月に新型を発売した「ハスラー」の販売台数も前年実績割れに

関連キーワード

関連記事

トピックス

各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン
理論派として評価されていた桑田真澄二軍監督
《巨人・桑田真澄二軍監督“追放”のなぜ》阿部監督ラストイヤーに“次期監督候補”が退団する「複雑なチーム内力学」 ポスト阿部候補は原辰徳氏、高橋由伸氏、松井秀喜氏の3人に絞られる
週刊ポスト
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
“最もクレイジーな乱倫パーティー”を予告した金髪美女インフルエンサー(26)が「卒業旅行中の18歳以上の青少年」を狙いオーストラリアに再上陸か
NEWSポストセブン
大谷翔平選手と妻・真美子さん
「娘さんの足が元気に動いていたの!」大谷翔平・真美子さんファミリーの姿をスタジアムで目撃したファンが「2人ともとても機嫌が良くて…」と明かす
NEWSポストセブン
メキシコの有名美女インフルエンサーが殺人などの罪で起訴された(Instagramより)
《麻薬カルテルの縄張り争いで婚約者を銃殺か》メキシコの有名美女インフルエンサーを米当局が第一級殺人などの罪で起訴、事件現場で「迷彩服を着て何発も発砲し…」
NEWSポストセブン
「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」に出席された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年11月6日、撮影/JMPA)
「耳の先まで美しい」佳子さま、アースカラーのブラウンジャケットにブルーのワンピ 耳に光るのは「金継ぎ」のイヤリング
NEWSポストセブン
逮捕された鈴木沙月容疑者
「もうげんかい、ごめんね弱くて」生後3か月の娘を浴槽内でメッタ刺し…“車椅子インフルエンサー”(28)犯行自白2時間前のインスタ投稿「もうSNSは続けることはないかな」
NEWSポストセブン
滋賀県草津市で開催された全国障害者スポーツ大会を訪れた秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
《“透け感ワンピース”は6万9300円》佳子さま着用のミントグリーンの1着に注目集まる 識者は「皇室にコーディネーターのような存在がいるかどうかは分かりません」と解説
NEWSポストセブン
真美子さんのバッグに付けられていたマスコットが話題に(左・中央/時事通信フォト、右・Instagramより)
《大谷翔平の隣で真美子さんが“推し活”か》バッグにぶら下がっていたのは「BTS・Vの大きなぬいぐるみ」か…夫は「3か月前にツーショット」
NEWSポストセブン