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藤井聡太七段 初タイトルへ難敵は長距離移動と和装か

どんな「勝負服」になるか(写真/共同通信社)

 藤井聡太七段(17)が驚異のハイペースで勝利を重ねている。長距離移動を伴う対局が再開され、棋聖戦でタイトル初挑戦を決めると、6月8日の5番勝負第1局で勝利。「さらに13日に王位戦の挑戦者決定戦への進出を決めた。6月はそれまでの13日間で5局。愛知在住の藤井七段の移動距離は約2500kmに及んだ」(観戦記者)という。

 将棋ライターの松本博文氏はこういう。

「過密スケジュールはトップ棋士の宿命。過去最多は2000年度の羽生善治九段(当時四冠)で年間89局、68勝の大記録を残した。昨年度65局(2位)、53勝(1位)の藤井七段も、今年度は棋聖、王位、竜王、王将の4タイトルに手が届く可能性があり、もっと忙しくなるでしょう」

 相手を研究する時間もなくなるなかで勝ち続けるのが、本当に強い棋士というわけだ。

「藤井七段は強行日程を苦にする様子もなく、弱点は見当たらない。ただ、強いて挙げるなら“和服での対局”に慣れていないことがあるかもしれません。タイトル戦は和服が通例ですが、棋聖戦第1局の藤井七段はスーツ姿。

 実は、1989年に羽生九段が19歳で竜王に初挑戦した時も、第1局と最終局はスーツでした。初タイトルを取った時、羽生九段は和服について『自分では着られないし、トイレに行くにしてもかなり不自由』と記していた。ただ、以後は羽生九段も和装になり、伝統は変わらなかった。藤井七段はスーツで通してもいいのですが、ファンは和服姿を期待するでしょうからね」(同前)

 藤井七段は棋聖戦第1局後に「和服は(28日の)第2局以降、着られれば」としていたが、昨年8月のJT杯で初めて和装で臨んだ対局は敗れている。“普段着”の将棋で初タイトルに近づけるか。

※週刊ポスト2020年7月3日号

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