フルボイスのゲームが当たり前になり、声優の仕事は増えているのだが……

子ども自身が気づくことも重要(ゲームセンターのイメージ)

 子供は大人がそうあってほしいと思い描くように育つものではない。遊びと勉強とスポーツなどをそれぞれメリハリをつけて集中するような、カンペキな生活習慣を身につけている子供がいたら、かえって気持ち悪くないだろうか。

 自分の子供がそうだとしたら自慢のご子息ということになるのかもしれないが、実は親の理想に従って自分を押し殺しているのではないのかと、私は逆に気になってしまう。一言でいえば、子供らしくない。子供はもっと不安定で当然だ。

 ゲームに関しては、だから子供の使用が難しい。個々の性格によって違いは大きいはずだが、一度始めたら、何時間でも、下手すりゃ1日中でも、やり続けてしまいがちなのがこの遊びだ。ましてや、今のゲームは、業界の長年に渡る企業努力と技術の蓄積で、プレイヤーが強い快感を覚えることができるように進化している。なので、大人でもハマって抜け出せない人がたくさんいるし、自制心のしっかりしていない子供ならなおさらだ。まだ不安定だから、いくらでもやり続けてしまう。

 ゲーム依存症を心配する大人たちは、そういう危なっかしい子供の姿を見て、あるいは姿を想像して、「対策を講じなければ大変なことになる」と焦ってしまうのだろう。けれども、子育て経験者なら重々承知しているように、どんな対策を講じようが、本人が自らそうしようと決めたことでなければ、親の話など聞く耳を持たない。

 香川県の条例で、ゲーム時間の基準が設けられることで、家族内ルール決めの際に、親が子供を説得しやすくなるという意見もある。だが、実際は、「こういう条例もあるのだからね」と言ったところで、子供が納得するとは限らない。むしろ、「わけのわからない条例を理由にして自分を縛るのか」と、親に対する不信感を抱いてしまう恐れがある。

 おそらく、ゲームについては、一度、二度とドハマりして、「こんなことばかりしていちゃ、ダメ人間になるよなあ」と子供本人が気づかないと、次にステップに進めない子が多いのではと思われる。あるいは、ゲームよりも楽しいものと出会うかどうかだ。

 新型コロナウイルスの影響でゲームのプレイ時間はどうなったか。香川県の子供たちのゲーム利用は全国と比較してどう違ったか。ゲームエイジ総研というマーケティングリサーチ&コンサルティングファームが調査した結果がある。

 産経新聞が報じたそれによると、〈新型コロナウイルスの感染拡大で休校措置がとられた時期と重なったためか、全国的に10代の利用時間は増加傾向にある。香川県の10代の利用時間も全国と同様に、学校が休校になった3月7日前後から増加。条例が施行された4月1日には減少したが、その後の緊急事態宣言の発令に合わせて再び増加傾向に戻った。2月3日~4月19日の11週間で、利用時間平均は全国で計270.2時間、香川で計262.6時間と、あまり変わらなかったという〉

 このデータだけで、条例に意味なしと断定するのは早計だろうが、やっぱりねと感じた人は多いのではないだろうか。

 ゲーム依存に関しては、まだまだ専門的な研究が足りない。ネットゲームは、ソーシャルネットワークとしても使われており、全国各地、下手したら外国にもネット友達がいるという子供は普通にいる。そこから始まる社会勉強もある。ゲーム=悪、ではない。

 わが子がゲーム漬けになっていたら、当然、親は心配だ。その気持ちはよくわかる。でも、大人が一方的に決め事をしたから事態が変わるほど簡単な話ではない。どうするか決めるのはあくまでも本人。親ができるのは我が子の意思を尊重し、その意思の実現のサポートすることぐらい、と腹を括るのが肝要なのだと思う。

関連キーワード

関連記事

トピックス

“激太り”していた水原一平被告(AFLO/backgrid)
《またしても出頭延期》水原一平被告、気になる“妻の居場所”  昨年8月には“まさかのツーショット”も…「子どもを持ち、小さな式を挙げたい」吐露していた思い
NEWSポストセブン
露出を増やしつつある沢尻エリカ(時事通信フォト)
《過激な作品において魅力的な存在》沢尻エリカ、“半裸写真”公開で見えた映像作品復帰への道筋
週刊ポスト
初めて万博を視察された愛子さま(2025年5月9日、撮影/JMPA)
《万博ご視察ファッション》愛子さま、雅子さまの“万博コーデ”を思わせるブルーグレーのパンツスタイル
NEWSポストセブン
憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
尹錫悦前大統領(左)の夫人・金建希氏に贈賄疑惑(時事通信フォト)
旧統一教会幹部が韓国前大統領夫人に“高級ダイヤ贈賄”疑惑 教会が推進するカンボジア事業への支援が目的か 注目される韓国政界と教会との蜜月
週刊ポスト
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン