北海道札幌市出身の兼近は経済的に決して裕福とはいえない家庭で生まれ育ち、中学3年生のときには両親が離婚。その後、定時制高校に通うものの、家計を支えるために中退している。2013年に芸人としてデビューする前には2度の逮捕歴があることが昨年報じられた。

 実は、後に不起訴処分となった2度目の逮捕が、兼近にとっては人生の転機となった。勾留されていた期間に友人から又吉直樹のエッセイ集『第2図書係補佐』を差し入れで受け取り、同書を読んで多大な影響を受けるとともに、芸人を志すことになったと本人自らインタビューで語っている。

 芥川賞作家としても活躍する又吉は、類稀なワードセンスの持ち主であるものの、お笑い芸人としてはネガティブなキャラで知られている。“陽キャ”とも言われる兼近のポジティブな芸風とは一見すると似ても似つかないことだろう。しかしお笑い評論家のラリー遠田氏は、2人には次のように共通点があると指摘する。

「兼近さんは又吉さんの著書を読んだことがきっかけで芸人を目指すようになったそうですが、表向きの芸風を見る限りでは、2人の間にほとんど共通点はありません。ただ、一歩掘り下げて考えてみると、兼近さんは『チャラそうに見えて真面目』というキャラクターの持ち主です。その性格の根底のところにある真面目さ、誠実さ、頑固さに関しては、又吉さんと共通する部分があると言えるかもしれません」

 又吉はテレビではネガティブな“陰キャ”のイメージがある。だが実は高校時代にサッカー部で副キャプテンを務めインターハイに出場したスポーツマンでもあるのだ。その意味でも2人は根っからの性格が似ていると言えるかもしれない。又吉から大きな影響を受けたという兼近は、ワードセンスを受け取ると同時に自分の性格と近しいものも感じていたのではないだろうか。

●取材・文/細田成嗣(HEW)

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