ライフ

独りよがりな正義をふりかざす「マスク警察」に反撃するには

営業再開したUSJにはマスクを外すゾーンもある(撮影/杉原照夫・WEST)

 ストレスという妖怪がそこかしこにうごめいている夏である。あなたもどこで指弾されるかわからない。備えあれば憂いなし。コラムニストの石原壮一郎氏が指南する。

 * * *
 今年の夏は、一段と暑苦しい夏になりそうです。もはや、マスクは私たちの身体の一部となりました。初めての“ウイズマスク”な夏を迎えて、多くの人が「マスクの暑苦しさ」を実感しているのではないでしょうか。そして、暑苦しさにさらに拍車をかけているのが、各地に出没している「マスク警察」の存在です。

 まわりに人がいない状況でマスクを外して歩いていたらすれ違ったおじいさんに怒鳴りつけられた。公園でマスクを外して遊んでいた子どもをおばさまが厳しく叱責した。さらに、学校に「ちゃんと指導しろ」と電話がかかってきた。SNSには、そんな「マスク警察」のみなさんの常軌を逸した活動っぷりが、たくさん報告されています。

 もちろん、感染防止が何より大切なのは言うまでもありません。ただ、厚生労働省も「屋外で人と十分な距離(少なくとも2m以上)が確保できる場合には、熱中症のリスクを考慮し、マスクをはずすようにしましょう」と言っています。

 いわゆる自粛期間中には、店を開けている飲食店に嫌がらせの貼り紙をしたり、県外ナンバーのクルマの写真を撮ってSNSにアップしたりする「自粛警察(自粛ポリス)」の暗躍が話題になりました。もしかしたら同じ人たちでしょうか。昨今は、お店の入口などでアルコール消毒を強要する「消毒警察」の存在も確認されています。

 コロナ騒動は、人はいかに独りよがりな「正義」が好きか、その手の「正義」がいかにタチが悪くてみっともないかをあぶり出してくれました。「○○警察」の行為は、ハタ迷惑なうっぷん晴らしに過ぎません。すべての悪を憎むわけではなく、自分より弱そうな相手にお手軽な鉄槌を下しているだけ。、そういう人が電車内での痴漢行為や上司のパワハラといった別の悪を目の当たりにしたとしても、きっと見て見ぬフリをするでしょう。

 誰しも、いつどこで「マスク警察」に遭遇するかわかりません。はずしていても問題ない場面で取り締まられたら、さぞ腹立たしいでしょう。言われっ放しだと不愉快が尾を引くし、結果的に独りよがりな「正義」の跋扈に加担することになります。そんなタチの悪いものを世の中にのさばらせないためにも、きっちり反撃したいところ。

 反撃といっても、「なんだとコノヤロー!」とケンカ腰で立ち向かうのは大人として安直だし、怒りの気持ちが余計に増幅しそうです。その状況に備えて、留飲を下げられそうな反撃のセリフを練習しておきましょう。例として5つのセリフをご用意しました。相手のタイプに合わせてお使いください。

「あっ、今話題のマスク警察さんですね。お務めご苦労様です!」
「じつは私、熱中症警察なんですけど、ちょっとお話聞かせていただいていいですか」
「あと80年早く生まれていたら、隣組や国防婦人会でさぞ活躍なさったでしょうね」
「あれ、見えませんか? 賢い人にだけ見える特製のマスクをしてるんですけど」
「もし私がプロレスラーみたいなガタイでも、同じように注意しましたか?」

関連キーワード

関連記事

トピックス

防犯カメラが捉えた緊迫の一幕とは──
「服のはだけた女性がビクビクと痙攣して…」防犯カメラが捉えた“両手ナイフ男”の逮捕劇と、〈浜松一飲めるガールズバー〉から失われた日常【浜松市ガールズバー店員刺殺】
NEWSポストセブン
第一子となる長女が誕生した大谷翔平と真美子さん
《左耳に2つのピアスが》地元メディアが「真美子さん」のディープフェイク映像を公開、大谷は「妻の露出に気を使う」スタンス…関係者は「驚きました」
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(27)と伊藤凛さん(26)は、ものの数分間のうちに刺殺されたとされている(飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
「ギャー!!と悲鳴が…」「血のついた黒い服の切れ端がたくさん…」常連客の山下市郎容疑者が“ククリナイフ”で深夜のバーを襲撃《浜松市ガールズバー店員刺殺》
NEWSポストセブン
和久井学被告と、当時25歳だった元キャバクラ店経営者の女性・Aさん
【新宿タワマン殺人・初公判】「オフ会でBBQ、2人でお台場デートにも…」和久井学被告の弁護人が主張した25歳被害女性の「振る舞い」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(Instagramより)
《愛するネコは無事発見》遠野なぎこが明かしていた「冷房嫌い」 夏でもヒートテックで「眠っている間に脱水症状」も 【遺体の身元確認中】
NEWSポストセブン
大谷翔平がこだわる回転効率とは何か(時事通信フォト)
《メジャー自己最速164キロ記録》大谷翔平が重視する“回転効率”とは何か? 今永昇太や佐々木朗希とも違う“打ちにくい球”の正体 肩やヒジへの負担を懸念する声も
週刊ポスト
『凡夫 寺島知裕。「BUBKA」を作った男』(清談社Publico)を執筆した作家・樋口毅宏氏
「元部下として本にした。それ自体が罪滅ぼしなんです」…雑誌『BUBKA』を生み出した男の「モラハラ・セクハラ」まみれの“負の爪痕”
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年6月4日、撮影/JMPA)
「佳子さまは大学院で学位取得」とブラジル大手通信社が“学歴デマ報道”  宮内庁は「全報道への対応は困難。訂正は求めていません」と回答
NEWSポストセブン
米田
「元祖二刀流」の米田哲也氏が大谷翔平の打撃を「乗っているよな」と評す 缶チューハイ万引き逮捕後初告白で「巨人に移籍していれば投手本塁打数は歴代1位だった」と語る
NEWSポストセブン
花田優一が語った福田典子アナへの“熱い愛”
《福田典子アナへの“熱い愛”を直撃》花田優一が語った新恋人との生活と再婚の可能性「お互いのリズムで足並みを揃えながら、寄り添って進んでいこうと思います」
週刊ポスト
生成AIを用いた佳子さまの動画が拡散されている(時事通信フォト)
「佳子さまの水着姿」「佳子さまダンス」…拡散する生成AI“ディープフェイク”に宮内庁は「必要に応じて警察庁を始めとする関係省庁等と対応を行う」
NEWSポストセブン
まだ重要な問題が残されている(中居正広氏/時事通信フォト)
中居正広氏と被害女性Aさんの“事案後のメール”に「フジ幹部B氏」が繰り返し登場する動かぬ証拠 「業務の延長線上」だったのか、残された最後の問題
週刊ポスト