ライフ

太るだけじゃない、うつの原因にも ホントは怖い糖質の話

ハタイクリニック院長の西脇俊二氏

 アメリカの医療系メディアの調査によると、コロナ禍によるステイホームの影響で、日本人の51%が「コロナ太り」したそうです。そりゃそうだ、と思いますよね。ずっと家にいるのだから慢性的に運動不足だし、ストレスが溜まりついつい食べ過ぎたりふだんならそれほど食べないおせんべいに手が伸びたり、気分転換でついついお酒の量も増えてしまったり(全部、自分のことです!)。

 テレビやネットニュースでも「コロナ太り解消に今こそ糖質制限ダイエットを」なる企画がチラホラ。ここ10年ほどですっかり定着した糖質制限の習慣ですが、じつは糖質を制限したほうがいいのは、ダイエットのためだけではないのです。この話は、「中高年になれば太るのは当たり前。大好きな炭水化物をやめてまで痩せる必要もない」と、あぐらをかいている人にぜひ教えてあげたい!

 そう、この話を聞いたら、だれもが「糖質ヤバいかも!?」とビビってしまうかもしれません。

 話してくださったのは、自分の生活習慣だけではなく病気の治療としても「断糖」を取り入れ、このほど『患者が絶えないカリスマ医師がやっている 糖質で早死にしない習慣』を上梓した、ハタイクリニック院長・西脇俊二先生。西脇先生自身が糖質摂取を積極的にやめてから3か月で17キロやせただけではなく、すっかり健康になったという体験の持ち主。以下、カギカッコ内は西脇先生の言葉です。

◆糖質+タンパク質に熱が加わると、老化物質が生まれる

 先生から最初に出たワードは「老化」です。

「年をとれば老化が進むのは当たり前ですが、その進度には個人差があります。同じ年齢でも非常に若々しい人もいれば、老けて見える人もいますよね? その老化を進める原因として、ひとつには〝酸化″があります。そして、酸化と並んで、怖いのが〝糖化″です。糖質がタンパク質と結びついたものが加熱されると、『AGE』という物質が生まれます。AGEは〝終末糖化産物″と訳され、非常に強い毒性を持つ老化物質です」

◆AGEは、体内のさまざまな組織を壊す

「AGE」という名前は、ネットや雑誌、書籍などでも目にしますよね。フライドチキンや、パンケーキ、ピザなど(どれもみんなが好きなものばかり!)、糖質とタンパク質が合わさってこんがり加熱された食品に、AGEが含まれます。

 そうした食品として摂取するものだけでなく、人間の体内でもAGEは生まれる――と西脇先生はいいます。

「人間が活動するためのエネルギーはブドウ糖で、血糖として体中に糖があり、そのうえ人間の体はタンパク質でできているので、体温で熱が加わることでAGEは生まれます。そうやって生まれたAGEは、体内のあらゆる組織を攻撃するんです。特に影響を受けやすいのが、タンパク質でできているコラーゲン。コラーゲンが減ると、肌の弾力が失われてシワができ、足腰の関節が痛んだり、血管の柔軟性が失われれば血流も悪くなるのはみなさんご存じですよね。このように見た目の老化も進みますし、心筋梗塞や脳梗塞などの病気を起こす原因にもなってしまうものなのです」

◆アルツハイマーにもAGEが影響している?

「アルツハイマー病については、まだわからないことがたくさんあります。しかし、アルツハイマー病の患者さんの脳には、糖化したタンパク質が多く見られるという報告が多く上がっています。また、糖尿病患者さんの血液中にも、糖化したヘモグロビンが多いといわれています」

健康のために糖質に対する理解は不可欠

◆糖質を摂らないことで、老化や病気を遠ざけられる

 老化ばかりか病気の原因にもなってしまうAGE。もう“太った痩せた”以前に、このまま大好きな炭水化物祭りの食生活をおくっていたら、早死にしちゃうかも・・・・・・!? AGEを生まないためには、どうしたらいいのでしょうか。

「糖質は人間にとってエネルギーとして必要なもの。したがって、100%AGEの発生を抑えることはできません。

 それでも、AGEを含む食品をなるべく摂取しないようにし、かつ糖質を控えることで、体内の糖の量を少なくしておくことができます」

◆糖質は、うつ病にも関係している

 糖尿病を患っている人のなかには、うつ病になるケースが多いそうです。糖質とうつ病・・・・・・どんな関係があるのでしょうか。

「糖質を摂取すると、血糖値を一定に保つためにインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは自律神経を刺激し、脳内のドーパミンの分泌量を下げます。このドーパミンというホルモンは、やる気や心地よさといった感情を生むもの。だからドーパミンの分泌量が低下すれば、倦怠感が起こり、気分が落ち込んだり、睡眠障害になったりします。

 うつ病は、心理的なストレスなどが原因となるため、糖を摂らないことで予防したり治したりできるとはいえません。それでも、何となく落ち込みがちだというときは、糖質を抑えることでスッキリすると思います」

西脇先生は精神科医でもあるので、クリニックには統合失調症やパニック障害など心の不調を訴える患者さんも来院します。そこで断糖治療を施したところ、改善に至ったケースも!

◆糖質は、あなたの残りの人生を左右するかもしれない

 つまり、糖質制限は、ダイエットのためだけではなく、老化の進みを遅らせたり、心や体の不調を遠ざけたり、といったメリットもあるようです。糖質と健康の関係性については、『患者が絶えないカリスマ医師がやっている 糖質で早死にしない習慣』に詳しく書かれています。

 40代になれば、見た目の若さ以前に、健康や長生きという物差しで自分の体重や体格、体の調子を見ざるを得ないもの。人生100年として、残りの50年近くを“太らず健康”に生きるために、あらためて糖質の正体に向き合ってみるのもいいかもしれません。

関連キーワード

関連記事

トピックス

9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
最新機種に惑わされない方法とは(写真/イメージマート) 
《新型iPhoneが発表》新機能へワクワク感高まるも「型落ち」でも充分?石原壮一郎氏が解説する“最新機種”に惑わされない方法
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
選手会長としてリーグ優勝に導いた中野拓夢(時事通信フォト)
《3歳年上のインスタグラマー妻》阪神・中野拓夢の活躍支えた“姑直伝の芋煮”…日本シリーズに向けて深まる夫婦の絆
NEWSポストセブン
学校側は寮内で何が起こったか説明する様子は無かったという
《前寮長が生徒3人への傷害容疑で書類送検》「今日中に殺すからな」ゴルフの名門・沖学園に激震、被害生徒らがコメント「厳罰を受けてほしい」
パリで行われた記者会見(1996年、時事通信フォト)
《マイケル没後16年》「僕だけしか知らないマイケル・ジャクソン」あのキング・オブ・ポップと過ごした60分間を初告白!
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
『東京2025世界陸上』でスペシャルアンバサダーを務める織田裕二
《テレビ関係者が熱視線》『世界陸上』再登板で変わる織田裕二、バラエティで見せる“嘘がないリアクション” 『踊る』続編も控え、再注目の存在に 
NEWSポストセブン
会話をしながら歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《ベビーカーショットの初孫に初コメント》小室圭さんは「あなたにふさわしい人」…秋篠宮妃紀子さまが”木香薔薇”に隠した眞子さんへのメッセージ 圭さんは「あなたにふさわしい人」
NEWSポストセブン
試練を迎えた大谷翔平と真美子夫人 (写真/共同通信社)
《大谷翔平、結婚2年目の試練》信頼する代理人が提訴され強いショックを受けた真美子さん 育児に戸惑いチームの夫人会も不参加で孤独感 
女性セブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン