「振り込め詐欺」対策を強化した電話機(時事通信フォト)

「振り込め詐欺」対策を強化した電話機(時事通信フォト)

「被害者からなんども金を取り上げるのは詐欺師の常套手段。金を取られた被害者に『金を取り戻せる』といって、調査費や補償金と言ってさらに金をだまし取る、一度騙されている人間だからこちらの掌の上で踊ってくれるようなもの。ところが、最近は被害者をさらに利用するのが主流になった。例えば若者に違法な金利で金を貸し付け、返せなくなると詐欺師として働かせたりする。最初は被害者だけど、いつの間にか被疑者になっている仕組み。とはいえ、60代で被疑者になるパターンは珍しい。金に困って危ない仕事をしたいって中高年は増えてますけど」

 かつて特殊詐欺に関与した経験を持つ元暴力団員・K氏(40代)がこう語るように、被害者を最後までしゃぶり尽くすことは、詐欺界の常識ではあった。ただ、最近のトレンドは被害者を最後は被疑者に仕立て上げ、使い捨てることなのだと説明する。

「最近は、詐欺でもなんでも盗れるもんは盗る、って奴が増えました。金持ちの年寄りを、金のない若者が狙うというわかりやすい図式も健在だが、中高年のモラルも崩壊し始めているのが大きな変化。先行きが不安で、貧乏人より少し資産があって、慎重すぎるくらいの中高年が(詐欺の手駒として)動かしやすい。金も盗れるし、不安を煽れば危ない橋だってすぐに渡ろうとする」(K氏)

 玄関に「警報装置動作中」というシールを張り、自宅の固定電話には「詐欺防止のために録音を~」という音声アナウンスを流す……持田自身は、それほど注意深い人間だった。それなのに詐欺の被害に遭い、みずからが詐欺の手先となった。彼のように、誰もが「まさか」と思う人々が、被害者になるだけでなく被疑者になって、人を傷つけるまでに至る。それが血も涙も情もない、特殊詐欺の今の形である。

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