ホテルバリアンリゾート(新宿フォレスト店)
では、カップルズユースを主眼に置いて長らく運営してきたホテルは、インバウンド需要がなくなった一般のビジネスホテルやシティホテルがカップルの取り込みに躍起になっている動きについて、どう感じているのだろうか。カップル利用以外にも女子会、ビジネスユースなど多様なプランが用意されているホテルとして知られる「ホテルバリアンリゾート」へ取材を試みた。
ここは首都圏を中心に様々なエリアで展開しているが、商圏にあるビジネスホテルなどがカップル取り込みの安価なデイユースに力を入れていることについては、「脅威という向きもあるが、われわれは付加価値を高めてきたブランドであり対抗した値下げはしない戦略」だという。「ビジネスホテルにカップルを奪取されているという印象はない」とも。
さらに、ビジネスホテルやシティホテルが提供するカップルズ向けサービスではできない取り組みもしていると話す。それは、ブランド名の通り、バリ島リゾート旅行気分が味わえる客室・ロビーの雰囲気を重視していることからもうかがえる。
チェックインすればすべてのサービスが無料で楽しめるお得感も売りにしているという。露天風呂や岩盤浴、足湯、ビリヤード、ダーツ、自由に選べるアメニティバイキング、ワイン、焼きたてパン、デザートなど枚挙に暇がない。清掃への取り組みも特徴的で、一般ビジネスホテルの3倍の人件費をかけて行うという。さらに最近、グランピングをコンセプトにした施設まで登場している。
ホテルカテゴリーのボーダーレス化について、筆者は以前より様々なメディアで指摘してきたが、コロナ禍はその傾向を一段と際立たせている。カップルズユースという視点でみてもそれは同様だ。
旅行という大きな移動のパイが減少、そしてお籠もり型のテレワークやカップル利用へフォーカスする動きもみられる中で、やはり従前から安定した需要のあるカップルズユースに秀でたホテルの商機は大きいと考えられる。これをモノにできるか否かは、一種独特な配慮が必要なゲスト目線に着目し、日々進化を続けられるかどうかにかかっている。
リゾート気分が味わえる「ホテルバリアンリゾート」の客室