このようにレジャー・ビジネスに限らず、ホテルのカップルズユースの潜在的な需要は相当高いことがうかがえる。アパホテルがカップルの取り込みを積極的に狙っているのかといえば「ノー」かもしれないが、一般ホテルのカップル取り込み姿勢がかなり目立つようになっているのは事実だ。
たとえば、埼玉県川越市にある「UTILITY HOTEL cooju(ユーティリティホテル クージュ)」。川越は都心から気軽にアクセスできるベッドタウンにして観光都市であるが、日帰り圏内とあってホテルのバラエティは豊富とはいえない。UTILITY HOTEL coojuはそんな川越で8年前の開業から異彩を放ってきたホテルだ。
JR川越駅から徒歩3分。駅前通りに面し気軽に立ち寄れる印象で外観は完全なビジネスホテルだ。元々ビジネスホテルだった物件をカップルも含め様々な用途で利用してもらおうと、客室面積の拡大も含めハイセンスなリニューアルを施したという。
大きく開口したフロントが印象的で、明るいロビースペースには選べるシャンプーや雑誌といったレジャーホテル的要素があるアイテムから、パソコン、電子レンジなどビジネスホテルでお馴染みのアイテムまで並ぶ。そんなフロント周りには、楽天トラベルのブロンズアワード2017~2019と3年連続受賞の盾が飾られている。
デイユース(休憩利用)の積極的な取り込みや、19時以降のチェックインなど、レジャーホテルの要素も採り入れられた運営スタイルについて担当者に確認してみると、やはり地域性を鑑みてカップルの取り込みを完全に狙っているという。
地元、観光に訪れたカップルによるデイユースだけでなく、JR川越駅周辺には清潔感の高い宿泊特化型ホテルが皆無だったこともありビジネス需要も旺盛だという。カップルズユース/ビジネスユースは半々の割合とのことだった。
レジャーホテルへの意識について質問してみたところ、川越も含めた「さいたま市エリア」は名の通ったビジネスホテルのデイユースも非常に盛んになっており、中にはクージュのように最初からカップル向けの客室を打ち出すホテルもみられ、相当の危機感を抱いているという。
コロナ禍の状況については、ビジネスユースが激減する中、やはりカップルズユースに支えられたという。ビジネス客オンリーだったら持ちこたえられなかったのではないかとの話に、“リスクヘッジ”というワードが思い浮かんだ。