ライフ

94年の歴史に幕を閉じる「としまえん」 つるの剛士の思い出

映えスポットが消える(時事通信フォト)

 としまえん(豊島園)は1926年、室町時代の豊島氏の居城跡(練馬城址)にレジャー施設として造られた。開園当初はウォーターシュートが人気を博していたという。園内には野球場やテニスコート、50mプールなど運動施設があり、戦後は、戦災孤児や家族向けレクリエーション、企業運動会などにも利用された。

 高度成長期には乗り物やプールを増やし、遊園地として発展。1970~1980年代は、アトラクションが増え来場者数も急増した。画期となったのは、1971年に導入以降現在も稼動する、としまえんの代名詞的存在である世界最古級の回転木馬「カルーセルエルドラド」だ。

「1907年のドイツ製で、当園に来る前は米ニューヨーク郊外の遊園地で50年以上使われていました。ルーズベルト大統領やアル・カポネも乗ったと伝えられています」(株式会社豊島園・内田弘事業運営部長)

 1990年代には絶叫マシンブームが到来し、「史上最低の遊園地」などの奇抜な広告コピーなどが話題となり若者人気を多く集める。1992年には約400万人の来園者を記録した。しかし、その年をピークに後年は減少していった。

 2000年以降は遊園地の原点に立ち返るべく毎年1つずつ子供向けアトラクションを増やし、家族層に向けた運営が行なわれた。その効果で近年の来場者数は回復傾向にあったという。

 子供の頃からとしまえんで遊び、自身が親になった後も家族でとしまえんを訪れていたタレントのつるの剛士が語る。

「練馬に引っ越してきた小学6年の頃から、放課後や休日も頻繁に通いました。流れるプールに波のプール……毎年夏が待ち遠しかったですね。閉園は仕方のないことかもしれませんが残念です。でも僕たちの思い出は木馬のようにこれからも回り続けていきます」

 閉園後の跡地は都立公園として生まれ変わり、敷地内には「ハリー・ポッター」のテーマパークが建設されるという。

「94年間、営業してきたことで多くの世代の記憶に残してもらいました。そうした思い出は次の世代に受け継がれていって欲しいですね」(前出・内田氏)

※週刊ポスト2020年7月24日号

回転木馬は世界最古級

関連キーワード

関連記事

トピックス

死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)は被害者夫の高羽悟さんに思いを寄せていたとみられる(左:共同通信)
【名古屋主婦殺害】被害者の夫は「安福容疑者の親友」に想いを寄せていた…親友が語った胸中「どうしてこんなことになったのって」
NEWSポストセブン
高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか(時事通信フォト)
《高市首相は2026年に何をやるつもりなのか?》「スパイ防止法」「国旗毀損罪」「日本版CIA創設法案」…予想されるタカ派法案の提出、狙うは保守勢力による政権基盤強化か
週刊ポスト
写真/イメージマート
《“ライス販売停止”騒動他》2025年の事例に見る「不毛な炎上案件」はなぜ生まれるのか?大人力を発信するコラムニストが解説
NEWSポストセブン
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
米女優のミラーナ・ヴァイントルーブ(38)
《倫理性を問う声》「額が高いほど色気が増します」LA大規模山火事への50万ドル寄付を集めた米・女優(38)、“セクシー写真”と引き換えに…手法に賛否集まる
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン
大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平、不動産業者のSNSに短パン&サンダル姿で登場、ハワイの高級リゾードをめぐる訴訟は泥沼化でも余裕の笑み「それでもハワイがいい」 
女性セブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《ベリーショートのフェミニスト役で復活》永野芽郁が演じる「性に開放的な女性ヒロイン役」で清純派脱却か…本人がこだわった“女優としての復帰”と“ケジメ”
NEWSポストセブン