日本列島から1000km離れた太平洋上で採取されたマイクロプラスチック(高田秀重教授の提供資料より)
この主張は妥当と言えるのか。マイクロプラスチックの問題を研究している東京農工大学農学部環境資源科学科の高田秀重教授はこう答える。
「環境省の海洋プラごみの実態把握調査が実施されている全国10か所の海岸は地方がほとんどで、都市域がはずれているので、漁具が多く出ていますが、私たちが東京、神奈川の海岸で実施している調査では、漂着物のほとんどがペットボトルや食品トレー、ポリ袋で、レジ袋は目立ちます。漂着物の0.3%ということはないと思います。
レジ袋は軽く風に飛ばされやすく、水にも流されやすい。薄い素材なので、日に当たるとすぐに劣化してボロボロになり、マイクロプラスチックになりやすいことも問題。また、プラスチックを柔らかくするための添加物、DEHP(フタル酸ジ2-エチルヘキシル)が、ペットボトルの蓋や食品パッケージより10倍以上多く含まれている。これは子供のオモチャには配合が禁止されている物質です」
レジ袋の漂着物は、0.3%という数字で示されるほど少なくはなく、また、頑丈なペットボトルや食品トレーよりマイクロプラスチック化しやすいので、海岸に漂着せず、微細化して海を漂っている分が多いとも考えられる。実際、魚類の胃の中からレジ袋の破片が見つかることはよくあるという。
「レジ袋よりペットボトルや食品トレーの漂着物のほうが量が多いのは事実で、清水化学工業さんがレジ袋ばかり問題視されることに納得がいかないのは気持ちとして理解できます。環境省や経産省が、レジ袋以外のプラスチック製品について、使用削減のためのロードマップを提示していないことがそもそもの問題です。あくまでレジ袋は第一歩であり、行政も消費者も他の使い捨てプラスチックの削減に取り組むべきです」(高田教授)