清水化学工業が〈原因のウエイトと対策のウエイトが乖離しています〉と主張しているのはその通りで、レジ袋を減らせと言うなら、当然、ペットボトルも食品トレーも減らすための策を講じるべきなのだ。
日本のペットボトルの販売本数は年間252億本で、回収率は91.5%とされる(2018年度:PETボトルリサイクル推進協議会調べ。以下同)。欧州で61.5%(2017年)、アメリカで28.9%(2018年)なので、かなり高い数字だが、それでも8.5%分の約21億本は未回収で、その一部が海に流出している。
では、ペットボトル由来の海洋プラごみにはどんな対策があり得るのか。
「まずできることはペットボトルの利用を少しでも減らすことで、消費者サイドから言えば、レジ袋をエコバッグに替えるように、マイボトル(水筒)を持つようにする。東京農工大では、すでに学内にマイボトル用の給水器を数十台設置しています。市場で流通している飲料水などはガラス瓶に替えるようメーカーに促すべき。ペットボトルをリサイクルするのと、ガラス瓶をリユースするのでは、トータルのCO2排出量で比較すると、ガラス瓶のほうが少なくなります」(高田教授)
ペットボトルをなくすのは、経産省が言うように「消費者のライフスタイルの変革」が必要で、非常に難しいテーマだが、レジ袋をスケープゴートにして手仕舞いにしてしまうのだとしたら、政府は何もしていないに等しい。
●取材・文/清水典之(フリーライター)