住宅関連事業に力を入れるヤマダ電機
◆家電と家具のコラボは相性良くない!?
ヤマダによる大塚家具の再生計画は、家電と家具のコラボ展示から始まった。
2月7日、ヤマダの旗艦店「LABI1日本総本店池袋」(東京・豊島区)、「LABI品川大井町」(東京・品川区)、「LABI1なんば」(大阪・浪速区)、「LABI LIFE SELECT千里」(大阪・豊中市)の4店舗をリニューアルオープンした。
ソファやテーブル、椅子など大塚が扱う商品とヤマダの有機ELテレビや白物家電を組み合わせて展示。色合いを揃えるなどして実際に使用したらどうなるかを顧客がイメージできるようにした。
池袋店の改装オープンは報道陣にも公開された。ゆっくりと店内を視察する会長の山田氏の後ろを、大塚家具社長の久美子氏がしずしずと歩む。大塚家具がヤマダの傘下に入ったことを象徴する光景だった。
ヤマダ社長の三嶋氏は「単に家電を売るのではなく、テレビを楽しむために部屋をどう変えれば、より快適にできるかを提案する。大塚家具と協力して家電量販店の垣根を超えたい」と抱負を語る。
その後、大塚家具は6月19日から全国7か所(有明、新宿、横浜みなとみらい、名古屋栄、大阪南港、神戸、福岡)のショールームで家電の展示販売を本格化した。
各店舗のフロアでは、リビングやダイニング、寝室など暮らしのシーンごとに、家具やインテリアとマッチする家電を揃えている。テレビとソファ、ダイニングテーブルと冷蔵庫やスチームオープンレンジ、ベッドと空気清浄機といった組み合わせだ。デザインや色彩のトーンを上手に調和させている。
当初は、3月の有明ショールームでの家電の展示販売を皮切りに、順次展開する計画だったが、新型コロナウイルスの影響で延期。緊急事態宣言の解除にタイミングを合わせ、7店舗一斉オープンとなった。三嶋氏が陣頭指揮を執る家具と家電のコラボ店への転換こそが、大塚家具の再生を左右することになる。
小売業界にはこんなジンクスがある。「家具の家電はライバル。相容れない」(大百貨店の営業担当役員)。家具と家電はいずれも耐久消費財と区分されていて、購入頻度は低い。家具の良いものを買ったら、しばらく家電は買わない(買えない)、というのがサラリーマン家庭のサイフを握っている主婦の感覚なのだ。だから「家具と家電のコラボは砂上の楼閣」(前出の百貨店の営業担当役員)といわれている。