「ベストジーニスト2019」次世代部門に輝いた(時事通信フォト)
熱心なドラマウォッチャーであるライターの苫とり子氏も、石橋が“二世女優”であることを知らないまま、令和版『東京ラブストーリー』を通じてその魅力の虜になった視聴者のひとりだという。動画配信サービスFODおよびAmazonプライムビデオで配信された約30年越しのリメイクドラマで、石橋は奔放なヒロイン・赤名リカ役を好演。苫氏は鈴木保奈美が演じた平成版リカと、石橋による令和版リカの違いを以下のように解説する。
「鈴木保奈美さんのリカは声や言動のキュートさと、強い意志のギャップが魅力的でした。対して石橋さんが演じるリカはよりサバサバしていて、会社の先輩としてカンチをリードするお姉さん、といった印象。令和版の『東ラブ』は価値観が現代的にアップデートされ、恋愛や仕事における女性の自主性を大切にした作りになっているのですが、石橋さんのナチュラルな演技はそれを後押しする形で視聴者に強烈なインパクトを与えました」(苫氏)
苫氏が「“演技をしている感”が全くない」と絶賛する石橋の資質が存分に活かされた代表作のひとつが、柄本佑、染谷将太という若手屈指の実力派俳優との即興的なアンサンブルが魅力の映画『きみの鳥はうたえる』(2018年)だろう。同作で高い評価を受けた気鋭の映画監督・三宅唱は、2020年6月にリリースされた星野源の楽曲「折り合い」のMVを手がけるにあたり、ふたたび石橋を起用。苫氏は同MVで石橋が見せる「動きと表情による芝居にも注目してほしい」と語る。
「MVなのでもちろん台詞はなく、ただ日常を送っている姿が映し出されているようにも見えますが、“コロナ禍で生まれたラブソング”だけに、時折見せる寂しそうな姿がじつに印象的です。パンを作りながら音楽に乗って小躍りしたり、ストレッチするシーンで体の柔らかさを披露したりと、彼女の素顔も垣間見える作品となっています」(苫氏)