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2020.08.01 07:00  週刊ポスト

【井上章一氏書評】日本におけるハラール食への関心は観光から

 二〇世紀までの日本が、ムスリムをうけいれていなかったわけではない。旧大日本帝国は、領土的な野心もあって、接点をもつようつとめている。一九八〇年代以後の経済界は、労働力確保のために、ムスリムの流入をあとおしした。不況の時は解雇にふみきれる働き手として。中年以上の読者はおぼえているだろう。バブルの崩壊で職にあぶれたイラン人たちが、代々木公園にむらがった光景を。

 モスクは二〇世紀の前半期からできだしていた、その後半期には、ムスリムの支援をこころがける諸団体も、設立されている。しかし、ハラール食は、ようやく二一世紀になって浮上しはじめた。食生活への関心をかきたてるのは労働問題でなく観光だと、かみしめる。日本での滞在資格を延長する。その都合で、日本人女性との結婚をあせる男たちへの取材は、おもしろい。彼らと所帯をもち、改宗した女たちの談話も、読ませる。

※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号

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