なぜ同僚の女性らを盗撮したのか。被告人質問で“特定の女性を撮影したかった”という目的を明かした。元々の声が小さいうえ、新型コロナウイルス感染拡大防止のためのマスクで、モゴモゴと声がこもりながらも、こう語る。
弁護人「あなた盗撮した目的は?」
被告「ある特定の女性に好意を抱き……Eさんを撮りたいと思いました」
弁護人「なぜ盗撮?」
被告「当時仕事のストレスが大きく、このような行動につながりました」
弁護人「Eさんが目的だったの?」
被告「はい」
Eさんを撮影したいと思った被告はまず、執務室の盗撮を始めたが、やがてトイレにも3台のカメラを仕掛けたのだそうだ。だが、トイレは不特定多数が利用する場所。Eさん以外も撮影された。
被告「カメラは人の動きを検知すると自動的に撮影される……」
弁護人「結果的に、Eさんだけでなく、誰かがトイレの個室に入るたびに撮影されることになりましたね」
被告「はい」
弁護人「画像は?」
被告「ファイル名を確認して、Eさんだけを抜き出して、SDカードに保存していました」
弁護人「Eさん以外は?」
被告「特に意識していない……。まったく触れずにそのままにしていました」
対する検察官は被告の当時の気持ちについて、追及する。
検察官「執務室だけでなくトイレにもカメラをつけましたね。これは、迷ってつけたんですか? 迷わずつけたんですか?」
被告「かなり迷ったと思います。発覚した後のことを……」
検察官「それでも設置したのはどうして?」
被告「冷静に判断できる状態ではなかった……」
検察官「その間も被害者たちと接してた。やめようとは思わなかったんですか?」
被告「思いました」
検察官「でも、やめなかったのはなぜですか?」
被告「(うつむきながら)言葉に表すのは難しい……エスカレートしてしまったんだと思います」
弁論で弁護人も「悪質とまではいえない。Eさんを撮影することが目的で、Eさん以外は結果的に映ったにすぎない。他の4名はあくまでも『映ってしまってもかまわない』程度の思いしかなかった」など、Eさん以外への撮影は狙ったわけではないので有利に斟酌するようにと求めていた。