日赤幹部からご進講をお受けになられる両陛下(5月20日、写真/宮内庁提供)
◆ふらつくご体調でも出席された
8月15日、東京・九段下の日本武道館で「全国戦没者追悼式」が行われる。毎年、終戦の日に開催されるこの式典には、その時代の天皇皇后が欠かさず参列されてきた。雅子さまも、昨年は皇后として初めて式典に臨まれた。
戦没者の慰霊は、皇室にとって何より大切なものだ。上皇上皇后両陛下は長い年月をかけて、慰霊の旅を続けてこられた。雅子さまや陛下にも、そうした「祈りの気持ち」は強く受け継がれている。
「皇太子同妃時代から両陛下と愛子さまは黙祷を捧げてこられました。陛下は追悼式の日には、日課のジョギングも慎まれたそうです。さらに、沖縄戦終結の日、広島・長崎の原爆の日、終戦の日などには、ご家族そろって身を清めて黙祷されるなど、戦争への思いは非常に強い」(前出・別の宮内庁関係者)
御代がわり行事でご多忙だった昨年は、雅子さまのご体調を不安視する声も多かった。
「追悼式での黙祷の際など、雅子さまのお体が左右にふらつく姿が見られました。ご体調が万全でない状態で無理を押して出席されたのです。そうした強い思いをお持ちですから、今年の追悼式も“万難を排して出席する”というお気持ちだと思います。政府主催の式典なので、政府サイドからは両陛下に参列の意思を尋ねることがあったそうですが、参列のご希望を強く伝えられたそうです」(前出・別の宮内庁関係者)
もちろん追悼式への出席には慎重論もあった。
追悼式には例年、全国から約6000人が参列する。今年は新型コロナを受け、参列者や来賓の人数が各都道府県からあわせて1400人程度に縮小される。だが、参列する遺族のほとんどは70才を超える高齢者だ。規模を縮小したとはいえ、大勢の高齢者が県をまたいで移動することになる。式典を主催する政府関係者の中には「この状況での開催は本当に適切か」と疑問視する声もあったという。
「“東京由来の感染”などと報じられ、地方在住者は特に東京との接点に過敏になっています。式典に参列すれば、遺族の方々は“東京からコロナを持ち込むな”“地元が汚染される”などと中傷を受ける可能性すらあります。
両陛下は、医療従事者をはじめとするコロナ禍での差別に胸を痛められています。式典参列者がそのような視線を浴びることを、心配されていることでしょう」(前出・皇室ジャーナリスト)
もちろん両陛下の感染のリスクも考慮された。
「感染リスクを減らすため、国歌斉唱はなくすそうです。ただ、陛下が壇上でお言葉を述べられるときにマスクを外されるかどうか。そうした詳細の検討が続いている状態です」(前出・別の宮内庁関係者)
人が集まれば、どうしても避けられない感染リスク。それでも、両陛下は出席のお気持ちを強くされているという。
「四大行幸啓が中止となったため、今年行われる両陛下の外出を伴う公務は、追悼式で最後になるといわれています。しかも、地方で行われる式典に臨席されたのは、昨年10月の国体が最後。つまり、追悼式への出席が、“今年最初で最後”となる可能性が高いんです」(前出・皇室記者)