「私たちがやってきたことは地球環境にプラスになっているのか?」
環境政策についてズバリ斬り込む杉村氏
杉村:レジ袋有料化もそうですが、この環境政策の中で、地球変動や温暖化対策に対して私たちは確実に効果のあることをやっているのか、という思いがあります。私たちはこの20年、ペットボトルのフタを分けたり、ゴミの分別をしたり、地味にやってきました。でも、その割には毎年夏は暑くなっているし、大雨などの災害で大きな被害が出ている。一生懸命やっているのに今ひとつ効果が感じられない。
小泉:まず、このまま私たちがすごく頑張って努力しても、この気温上昇は産業革命前と比べると、残念ながら抑制どころか維持することすらできないんです。
杉村:確かに、新型コロナウイルスなら全員がステイホームすれば収束する気がしますが、温暖化は1年間車を運転しなくても工場を止めても止められるとは思えません。
小泉:そこが難しいところなんですが、世界はパリ協定という枠組みの下で、地球の平均気温の上昇を産業革命前の水準と比べて2度以内に抑えよう、できれば頑張って1.5度以内に抑えようという方向で合意をして政策を進めています。「気温が下がらないんだったらやったって意味ないじゃん」とおっしゃるかもしれません。そういう考え方をお持ちのかたであれば、何も行動を起こさないであきめてしまうのかもしれません。でもその結果、計り知れない影響を被るのは我々の次の世代です。行動しないわけにはいかないですよね。
杉村:もっと国民ができることは何かないのでしょうか。
小泉:残念ながら劇的な処方箋はありません。でも、先ほど言ったように、ぼく自身1つひとつ生活の中で、環境を考えた変化を取り入れていますが、ガマンしてやっているわけではありません。本当に自分の中で楽しんでやっているんです。まずは、その感覚を一人でも多くの人と共有したい。
化石燃料、化石資源を使って生み出されるプラスチックにこれだけ依存している社会のあり方を私たちは変えられるかどうか。これができれば私たちの経済社会は生活の質を落とさずに、なおかつ環境には負荷が低くなる。産業としてもより持続可能になります。もはや、環境に取り組むことは経済や雇用の重荷ではなく、競争力の源泉です。レジ袋有料化をきっかけに、そんな認識が広がっていくように取り組みを進めていきたいと思います。杉村さんも読者の皆さんも、一人一人ができるところから行動を始めてみませんか?
構成/坂口さゆり 撮影/浅野剛
普段はエコバッグを活用しているという小泉環境大臣
レジ袋有料化の効果について聞く杉村氏
”小泉チルドレン”の杉村氏、そして小泉純一郎元首相の次男である小泉環境大臣
「プラスチックに依存している社会のあり方を変えられるかどうか」と語った小泉環境大臣
「できることから始めてほしい」という小泉環境大臣