「競技用義足が学校でも使えるように」と願う義肢装具士の沖野氏
当然、未来のパラアスリートを目指す子どもたちも気軽に競技を楽しめる環境にはない。そこで沖野さんは「オスポランニング教室」と題した競技用義足の体験会を開催している。義足で本格的に走る感覚を味わってほしいと、子どもたちに中古の競技用義足を貸し出して走り方を指導している。沖野さんは言う。
「子どもたちの体は成長のスピードが早いので、買い替えの頻度が多くなる。だから、将来的には競技用義足がレンタルできて、学校の体育でも使えるようになってほしい。望む子には、いつでも思い切り運動できる環境ができたらいいなと思っています」
パラスポーツにおいても一般スポーツと同様に競技人口や環境といったすそ野の広さが、競技レベルに比例する。「2020東京パラリンピック」が、競技レベルの面でも、すそ野の広さの面でも、日本がパラアスリート大国になるきっかけとなることを望みたい。
●取材・文/岸川貴文(フリーライター)