スポーツ

来年の王座奪還へ 大阪桐蔭「最強第2世代」たちの輝き

甲子園交流試合では2年生ながら3安打を放った池田陵真

 今年の“夏の甲子園”は、センバツに出場予定だった32校が各1試合を戦う異例の「交流試合」というかたちで開催され、17日に全日程が終了した。昨年は春夏ともに甲子園出場を逃した超強豪・大阪桐蔭は、新型コロナの感染拡大によって昨年の雪辱を果たす機会を奪われた格好だが、交流試合での戦いぶりからは、来年の王座奪還に向けた“光”が見えてきた。ノンフィクションライター・柳川悠二氏がレポートする。

 * * * 
 あの日のギラギラとした少年の目が、どうしても忘れられなかった。

 2年前(2018年)の5月、U-15侍ジャパンの代表選考を行うトライアウト会場で、ひときわ際立つトスバッティングを行っていたのが池田陵真だった。とにかくスイングスピードが速く、ひとりだけ金属バットの反発音が違った。実戦形式やフリーバッティングではなく、トスバッティングだけで“違い”を見せつける中学生球児などなかなかいない。

 帰路につく彼を追いかけ、話を聞くと、私の目を直視しながら、将来のビジョンをこう語った。

「広角に力強い打球を打てるのが自分の持ち味だと思っています。高校は大阪桐蔭に行きます。中学でもキャプテンをやっていますし、高校でもキャプテンをやれたら」

 池田は小学生時代にオリックスジュニアに選ばれ、前田健太(現ツインズ)を輩出した忠岡ボーイズに所属していた中学1年時には、カル・リプケン世界少年野球大会にも出場し、世界一となって帰国した。いわゆる野球エリートに位置づけられる中学生で、とにかく強い意欲と意思が感じられる目力が印象に残った。

「高校の先生と話をさせていただいた時もそう言われました(笑)」

 池田は順当に選出された侍ジャパンでもキャプテンを任され、W杯に臨んだ(4位)。そして、この時のトライアウトで取材し、メンバー入りした捕手の坂玲哉や竹中勇登ら、実に5人が大阪桐蔭に入学している。

 その池田がこの夏、2年生ながら甲子園交流試合の舞台に立った。ポジションは外野手となり、大阪桐蔭の先頭打者として初回に左翼フェンス直撃の2塁打を放った。池田が打席に入ると、対戦校の東海大相模は外野手を下げ、長打を警戒した。池田の名もいよいよ全国区となった。池田が振り返る。

「甲子園は中学時代に一度、プレーした経験はあるんですけど、やっぱり高校野球で立つと大きく感じました。(4打席中、投失による出塁を含め3度の出塁という)結果は良かったんですけど、ひとつの三振が悔やまれます。4打数4安打やったら満足できたんですけど……」

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト