国内

コロナ重症者増える大阪 繁華街での希薄な危機感も原因か

重症者の拡大を食い止められるか(時事通信フォト)

「全国的にだいたいピークに達したとみられる」。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は8月20日、日本感染症学会の講演でこう述べて、感染収束への期待感を示した。

 実際、8月23日の東京の新規感染者は212人。一時は400人を超えたが、最近は連日200人台が続き、24日には95人、25日は182人と、感染が収まってきたように見える。

 一方で深刻なのは大阪の重症者の多さだ。7月末以降、じわじわと増加して全国最多。24日時点で67人に達し、感染者自体の数がはるかに多い東京の38人を大きくリードする。

「最近、東京が人工呼吸器などは用いていないものの集中治療室(ICU)に入っている患者を、重症者の人数から除外していることが発覚して一騒動がありました。ただ、それらの患者を含めても東京の重症者は10人ほど増えるのみで、大阪より少ないとみられます」(都政関係者)

 さらに、大阪の不安材料は、陽性率6.5%が東京の5.0%を上回ることだ(8月24日時点)。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんが指摘する。

「普通、分母である検査数をどんどん増やせば陽性率は下がっていくはずですが、大阪の陽性率が上昇しているのは、感染拡大に検査が追いついていないからと考えられます。つまり、感染の実態が把握できておらず多くの漏れがあるということです。“隠れ陽性者”が多いほど、市中で高齢者や持病のある人などハイリスクな人が感染して重症化する確率は上昇するため、今後さらに重症者が増える可能性があります」

 なぜ大阪の重症者が急増しているのか。1つのポイントは「高齢者の感染」である。

「(大阪は)高齢者と若者の距離が東京より近い。非常に狭い範囲で高齢者と家族が暮らしているので」

 8月19日の記者会見で吉村洋文大阪府知事がそう述べた通り、若年層と年配の人が一緒に暮らす家庭の割合が多い大阪の生活スタイルがアダになった可能性がある。国際医療福祉大学病院内科学予防医学センター教授の一石英一郎さんが指摘する。

「東京の新宿・歌舞伎町は早くからやり玉に挙げられましたが、その分、危機意識も強く、ホストクラブなど飲食店が積極的に検査に協力した。しっかり検査を行ったから感染者数が増えたともいえます。

 一方、地方の繁華街、特に全国有数の規模を誇る大阪のキタやミナミでは歌舞伎町並みの取り組み、あるいはそれ以上の危機感と検査の徹底を行ってきたのかどうか。また、知らないうちに感染した若者が日常生活で高齢者などに広めた可能性があります。

“東京の繁華街が危ない”と言われ続けたことで、かえって東京では高齢者の感染増加を抑えこむことができたといえるかもしれません」

 血液内科医の中村幸嗣さんも高齢者に注目する。

関連キーワード

関連記事

トピックス

出廷した水原一平被告(共同通信フォト)
《水原一平を待ち続ける》最愛の妻・Aさんが“引っ越し”、夫婦で住んでいた「プール付きマンション」を解約…「一平さんしか家族がいない」明かされていた一途な思い
NEWSポストセブン
公務に臨まれるたびに、そのファッションが注目を集める秋篠宮家の次女・佳子さま(共同通信社)
「スタイリストはいないの?」秋篠宮家・佳子さまがお召しになった“クッキリ服”に賛否、世界各地のSNSやウェブサイトで反響広まる
NEWSポストセブン
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でハリー・ポッター役を演じる稲垣吾郎
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』に出演、稲垣吾郎インタビュー「これまでの舞台とは景色が違いました」 
女性セブン
司組長が到着した。傘をさすのは竹内照明・弘道会会長だ
「110年の山口組の歴史に汚点を残すのでは…」山口組・司忍組長、竹内照明若頭が狙う“総本部奪還作戦”【警察は「壊滅まで解除はない」と強硬姿勢】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反容疑で家宅捜査を受けた米倉涼子
「8月が終わる…」米倉涼子が家宅捜索後に公式SNSで限定公開していたファンへの“ラストメッセージ”《FC会員が証言》
NEWSポストセブン
巨人を引退した長野久義、妻でテレビ朝日アナウンサーの下平さやか(左・時事通信フォト)
《結婚10年目に引退》巨人・長野久義、12歳年上妻のテレ朝・下平さやかアナが明かしていた夫への“不満” 「写真を断られて」
NEWSポストセブン
バスツアーを完遂したイボニー・ブルー(インスタグラムより)
《新入生をターゲットに…》「60人くらいと寝た」金髪美人インフルエンサー(26)、イギリスの大学めぐるバスツアーの海外進出に意欲
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘の広告が消えた(共同通信)
【ハワイ別荘・泥沼訴訟に新展開】「大谷翔平があんたを訴えるぞ!と脅しを…」原告女性が「代理人・バレロ氏の横暴」を主張、「真美子さんと愛娘の存在」で変化か
NEWSポストセブン
小林夢果、川崎春花、阿部未悠
トリプルボギー不倫騒動のシード権争いに明暗 シーズン終盤で阿部未悠のみが圏内、川崎春花と小林夢果に残された希望は“一発逆転優勝”
週刊ポスト
「第72回日本伝統工芸展京都展」を視察された秋篠宮家の次女・佳子さま(2025年10月10日、撮影/JMPA)
《京都ではんなりファッション》佳子さま、シンプルなアイボリーのセットアップに華やかさをプラス 和柄のスカーフは室町時代から続く京都の老舗ブランド
NEWSポストセブン
部下と“ラブホ密会”が報じられた前橋市の小川晶市長(左・時事通信フォト)
《黒縁メガネで笑顔を浮かべ…“ラブホ通い詰め動画”が存在》前橋市長の「釈明会見」に止まぬ困惑と批判の声、市関係者は「動画を見た人は彼女の説明に違和感を持っている」
NEWSポストセブン
国民スポーツ大会の総合閉会式に出席された佳子さま(10月8日撮影、共同通信社)
《“クッキリ服”に心配の声》佳子さまの“際立ちファッション”をモード誌スタイリストが解説「由緒あるブランドをフレッシュに着こなして」
NEWSポストセブン