国内

コロナ禍で必要なのは正義より親切、間違えると差別生まれる

日本赤十字社の「ウイルスの次にやってくるもの」という動画(YouTubeで閲覧可)は、恐怖に振り回されがちな私たちの心の問題への注意喚起を行っている

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、人々が不安を抱えるなか、登場したのが「自粛警察」と呼ばれる人々だ。緊急事態宣言下では、不要不急の外出をする人や営業を自粛しない店を攻撃する人々が続出し、「自粛警察」と呼ばれるようになった。さらに、マスク不着用を注意する「マスク警察」、帰省者を監視する「帰省警察」も出現している。

 コロナ禍で全国に広がった“自粛警察”的な動きの中でも、最近話題を呼んだのが、東京から青森への帰省者の家に投げ込まれた中傷ビラだ。新潟青陵大学大学院教授の碓井真史さん(社会心理学)が分析する。

「事前にPCR検査を受けて帰省した意識の高い人に『さっさと帰ってください。みんなの迷惑になります』という紙を投げ込んだのは、文面から女性っぽい感じを受けます。少なくとも、いい加減な人ではなく、むしろまじめで、自分の地域を守らねばならない、そのためにはルールも守らねばと思っている人でしょう。

 帰省や上京する人の中には、危篤の肉親に会いに行く人や、就職試験の受験者がいるかもしれません。一方的に愚か者と決めつけず、想像力を働かせることも必要でしょう」(碓井さん・以下同)

 社会的な不安が高まると、正義感や防衛本能が過剰に働き、「怖い、怖い」と思うほど、外からやってくるものすべてが悪魔やばい菌のように感じられ、気持ちが内向きになって本能的に仲間内でまとまろうとする。その結果、県外ナンバーの車を敵視したり、“よそ者”を排除する動きにつながると碓井さんは言う。

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