ライブを視聴した韓国ファンの間では、12人のメンバーから数人を束ねて、「ギャグ組」、「末っ子組」、「紙人形組(痩せているから)」など色々なニックネームを付けるのが流行っている。それは当然、メンバーの“ケミ”が良いからだ。ケミは、「ケミストリー」の略語で、韓国では「ケミがいい=相性がいい」という意味で使われる。
“ケミ”が良いのも当然だ。TREASUREは2018年、YouTubeやVLIVE、ケーブル放送局JTBC2で放映されたサバイバルオーディション番組『YGの宝石箱』で選ばれたメンバー。実力だけでなくメンバーの相性の良さは既に証明済みである。練習生に選ばれると、基本的にYGが食事などの生活にかかる費用を提供し、メンバー全員で共同生活を送る。1日のスケジュールも超多忙で、歌やダンスだけでなく外国語やスピーチ、演技も学ばせ基礎体力を作るためのトレーニングやメンタルヘルスケアも行った。練習生一人当たり年間1億ウォンはかかるそうだが、これは投資のため練習生が費用を返済する必要はないという。
YGの練習生であること自体、ビジュアルや歌唱力、ダンスが優れている証拠と言えるが、厳しい訓練をやり遂げ、メンバー同士競い合いながらも共に成長した彼らは、まさに宝石の中の宝石と言える。番組放映後、いつデビューするのかとファンは心待ちにし、デビュー日が決まった時は、韓国経済紙まで「ついにYGが宝石箱を開けた」、「宝石箱からTREASUREが飛び出た」と報道したほど。BLACKPINK とTREASUREの連続ヒットでYGの株価も上がり続けている。
TREASUREの12人は、並々ならぬ注目と期待を集めているだけに、プレッシャーに耐えられるか心配になるほど。だが、デビュー記念記者懇談会では「BIGBANGの弟分と呼ばれるのはとても光栄でもっと頑張ろうというモチベーションになる」、「グローバルアイドルになって日韓両国で新人賞を獲りたい」、「歴史に名を残すグループになりたい」と意欲を見せ、「全くプレッシャーは感じていない」とも話していた。元気いっぱいの夢見る少年12人を、今後応援せずにはいられなくなるだろう。
【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。