実際、CDの初動売上は絶好調だ。7月29日から予約販売を開始し、8月13日に正式に発売された『BOY』が収録されたファーストシングル『THE FIRST STEP : CHAPTER ONE』の初動売上は約16万枚、8月20日時点では約20万枚を超えた(韓国アルバム集計サイト「HANTEO CHART」)。ファーストシングルで16万枚の初動売上は、先輩のBIGBANG、BLACKPINKも成し遂げられなかった記録で、YG歴代新人最高記録である。
発売から1週間の初動売上は、日本と同様韓国でもその後の人気に大きく左右する。そのためYGも、売上を伸ばそうとさまざまな特典や仕掛けを行った。ファーストシングルは、ホワイトとブラックの2つのバージョンを用意したり、CDに加えて150ページのフォトブックや、ランダムでフォトカードを入れたり、ポスターやスクラッチカードなども付けたりと特典満載だ。スクラッチカードは宝くじのようなもので、カードをこすって12個の宝石が出たら、メンバーと1対1でテレビ電話ができる特別なイベントに参加できる。コロナ対策でファンミーティングもコンサートもできない中、メンバー1人当たり1分ずつ合計12分テレビ電話で話せるとあって、ファンにとっては嬉しい仕掛けになったはずだ。
ちなみに、K-POPの初動売上の歴代1位から4位までは、今世界的人気となっている人気ボーイズグループ「BTS」のアルバムが占めている。1位は2020年2月21日に発売した4thアルバム『MAP OF THE SOUL : 7』で約337万枚にのぼる。
コロナさえなければファンミーティングに新曲発表会と、ファンと直接触れ合う場も多かったはずで、さらに売上も見込めたかもしれない。TREASUREは、メンバー自ら「グローバルアイドルになりたい」、「日韓両国で新人賞をとりたい」と話しているだけに、BTSのようなグローバルアイドルに成長する日が待ち遠しい。
【趙章恩】
ジャーナリスト。KDDI総合研究所特別研究員。東京大学大学院学際情報学修士(社会情報学)、東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学。韓国・アジアのIT・メディア事情を日本と比較しながら分かりやすく解説している。趣味はドラマ視聴とロケ地めぐり。