ズラリ揃って「ハイヒール・リンゴ」に「なすび」(ちょっとなつかしい)「つまみ枝豆」「井手らっきょ」「バナナマン」。
キッチンまわりに目をやれば「なべやかん」「おぼん(こぼん)」「ラッシャー板前」とくれば文句なし。ちなみに食関係の噺家といいますと「立川キウイ」「三遊亭天どん」「柳家わさび」ときて「桃月庵白酒」がただいま大人気。食通から芸通まで納得の、私の“夏休みの自由研究”だったのでは──。
ちなみに食べ物をテーマとした古典落語の演目も沢山ありまして、駆け足で有名なところから。誰でも知っている日本人の基礎知識「饅頭こわい」「目黒のさんま」「時そば」「鰻の幇間」「黄金餅」「かぼちゃ屋」「孝行糖」「酢豆腐」、ここいら辺までが入門篇。
ここから知っていればちゃんとした日本人と私だけが認める。「青菜」「こんにゃく問答」「そば清」「うどん屋」「千両みかん」「大仏餅」「素人鰻」「後生鰻」「唐茄子屋政談」「しじみ売り」。ホーラ、聴きたくなってきたでしょう。おあとがよろしいようで。
■イラスト/佐野文二郎
※週刊ポスト2020年9月11日号