「ウーバーイーツ」の配達員(右)と「出前館」の配達員(時事通信フォト)

「ウーバーイーツ」の配達員(右)と「出前館」の配達員(時事通信フォト)

 多くを語ってはくれなかったが、国民年金だけでは食べていけないということは話してくれた。彼の国民年金は月5万円ほど、「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」(厚生労働省)によれば平均月額は5万6千円なので、大半は40年間支払った場合の満額65,141円をもらえていないことがわかる。もっとも満額でもそれだけでまともに生活できるかと言ったら否だろう。

「二人で合わせて10万円くらいかな、家は持ち家だけど、税金とか保険とか生活費とか、まあ足りないよね、だからウーバー」

 スマホに目を通すお爺ちゃん、スクーターもスマホもボロボロで年季が入っている。一昔前のバイク便のライダーのようでどこかかっこよくもある。奥さんの年金があるからまだ貯金の切り崩しとウーバーのバイトでなんとかなっているが、独身で無貯金の国民年金者など将来どうなるのだろう。30代・40代の無貯金者は23.1%にも登る(2019年・SMBCコンシューマーファイナンス調べ)。親の遺産が転がり込む人もいるだろうが、実際このほとんどは貯金ゼロの年金者となるだろう。高齢だろうが病気だろうが「一生働く」ことが現実となりつつある。

「コロナ怖いし持病もあるけどしょうがないよね、それでもウーバーはありがたいよ」

 狭心症でステントを何本も心臓に入れているという。この8月の暑さで70代の老人が一日中マスク姿、自転車よりましとはいえ原チャリで1日中炎天下を走り回るのは心配だ。

「そんときはそんとき、食ってかなきゃね」

 また商品を受け取り走り去る。いろいろ言われるウーバーだが、こうして幸か不幸か必要としている人がいるということか。

関連キーワード

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
《家族と歩んだ優しき元横綱》曙太郎さん、人生最大の転機は格闘家転身ではなく、結婚だった 今際の言葉は妻への「アイラブユー」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。  きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
年商25億円の宮崎麗果さん。1台のパソコンからスタート。 きっかけはシングルマザーになって「この子達を食べさせなくちゃ」
NEWSポストセブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン