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「一生働くとは思ってなかった」と70代のUber配達員は言った

商店街を疾走する子連れウーバー

 別の取材の帰路で見かけたウーバー配達員はさらに衝撃的だった。なんと子どもを前乗せした電動アシスト自転車のママさんである。なかなかの全力こぎで商店街を疾走している。子連れウーバー、なんだか「子連れ狼」みたいだが、ウーバーに同乗者有無の規定はない。それでも高齢配達員同様なかなか見かけない光景だ。私も駆け足で後を追う。一度見失ったが、商店街の焼肉屋に彼女の自転車が停まっていた。子どもは2歳くらいだろうか、慣れているのか健気におとなしく前乗りのまま待っている。

 弁当を持ってママさんが出てきた。これから配達のようだ。仕事の邪魔はできないので話を聞くのは控えることにした。それにしてもこの炎天下、子連れでウーバー配達員とは恐れ入った。マスクごしの怪訝な一瞥を私に投げてママさんは走り去る。彼女のことも心配だが子どものことが気にかかる。ウーバージャパンは配達パートナーに関して「個人事業主であり、労災保険の適用外」だと抗弁してきたが、世間の批判と度重なる事故、配達員からの不満を受けて2019年10月1日から「傷害補償制度」を導入した。しかしこの補償制度はスマホで配達リクエストを受諾してから配達完了、もしくはキャンセルまでの話で、それ以外の移動時間や待機時間には適用されない。つまりママさんは自宅からの行き帰りで保険は適用されないし、配達員でない子どもは業務中であっても適用されない。また個人事業主でも建設業の一人親方や個人タクシー、バイク便などの独立ドライバーなどは労災保険の特別加入制度(2020年8月時点で建設業一人親方は約7万5千人加入、労災月報)で補償されているが、厚生労働省はウーバー配達員を想定していない。個人の保険で賄うにしても、業務上の事故だけに難航するだろう。生活が厳しいのかもしれないし、安易に考えているのかもしれないが、子どもの人生を狂わせるリスクを負うほどの仕事なのか。

 ウーバー配達員はすっかり街の風景の一部となった。しかしそれは幸福な景色なのだろうか。ウーバーは利用者からすれば少々高くとも便利だろう。使わざるを得ない人もいる。しかし、あまりに問題が多すぎるしその問題が大きすぎる。

 思い返せばこの8月だけでも、何度も危険な走りをするウーバー配達員に遭遇した。私が久しぶりに大型バイクでのんびり走っていると、125cc未満は進入禁止のバイパスを「Uber Eats」の鞄を背負った半ヘル男が90ccのスクーターで抜き去って行った。また、都下の某繁華街の喫煙所は外食チェーンが軒を連ねているのもあって配達パートナーの溜まり場となっている。原付は一方通行もお構いなしの逆走(この十字路は一部一通になっている)、自転車は信号なんか守らない。ときに車、ときに歩行者と都合のいい走り方で信号無視を繰り返す。きちんと交通ルールを守ってしっかり稼いでいる配達パートナーもいると反論するかもしれないが、いつもは労働者側に立つ私もウーバーだけはどうか、実際、都内に限れば私の広範囲の取材の途中で見かけた数を鑑みても、ルール無用の配達員が多すぎる。これでは、同じように悪質配達員を見かけているのであろうネット民を中心としたウーバー批判ももっともである。

 お爺ちゃんも、ママさんもそれぞれに事情がある。そういう人たちが働ける場というのも必要だろう。ましてこのコロナ禍、国も自治体も期待できない現状では自分の生活は自分で守るしかない。それでも日本におけるウーバーのシステムはあまりに未整備、命を預けられる仕事とは思えない。

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