引退時には横浜への思いを語った

「神奈川の球団だから引き受けた」

 過去にも2度、独立リーグの他の球団から指導者としてのオファーがあったが断った。そして、神奈川フューチャードリームスから初代監督を打診される。

 鈴木監督がこの時に思い出したのが、2009年3月22日に開催された自身の引退試合だった。巨人とのオープン戦でグライシンガーから右翼スタンドへ本塁打。現役最終打席を最高の形で締めくくり、試合後のセレモニーでこう誓った。

「プロ野球の世界では18年間、横浜高校時代を入れると21年間、横浜に育ててもらいました。僕は横浜が大好きです。横浜ベイスターズを応援してくれる皆さんも大好きです。これからは僕が皆さんに恩返しをする番です」

 あれから11年――鈴木監督は「神奈川の球団なので引き受けました」と短い言葉に強い思いを込める。監督に就任してからは、選手に助言する際、「~しろ」と言わず、「~してみるのもいい」「~だと思うけどどう?」と助言することを心がけているという。

「権藤さんの影響かもしれないですね。自分は当時26歳で野手の中では一番年下だったけど、大人扱いをしてくれた。スパルタ指導はしないですね。強制されたり、ガミガミ言われたりするより、選手は自主性を重んじたほうが責任を感じます。独立リーグも立派なプロ野球選手です。もちろん、道から外れるようなことや怠慢プレーには厳しく注意しますが、プロの自覚を持って意識高くやってほしい。能力を最大限引き出すアプローチをするために大人扱いします」

 20歳以上年下の選手たちと接する。個々の性格も違うので声の掛け方も変わってくるという。

「もう少しヤンチャかなと思ったけど、みんな素直でいい子ですね。逆に真面目過ぎるぐらい。練習ではいいけど試合で全然力を出せない選手が多いように感じます。技術以前に自分で自分を追い込んでいる。

 指導はメンタル面が多いですね。打席に入るまでの心構え、打席に入ってからの考え方……自分の力を発揮できない選手は、個人面談で腹を割って話して。自分は打者の気持ちがわかります。色々葛藤を抱えながらプレーしている選手には話をしてすっきりさせるように心がけています」

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