臨床心理学者のメアリーによるとフレッドは「ソシオパス」の特徴をいくつも有するという。共感性を持たず、すらすらと嘘をつく、善悪の区別に無関心で、他者の人権を意に介さず平気で踏みにじる──そうした人物を親に持つことが、子供の人間的成長に与える影響は絶大だった。

「親がソシオパスだと、感情の表し方や人間関係のつくり方、道徳心などを学ぶべき時期に、それができません。そうした過酷な環境にいる子供は“混乱”に陥ります」

 何よりカネとビジネスを最優先にするフレッドは、子供の相手をすることがとにかく面倒だった。そうした「無関心」がドナルドの人間的成長をさらに妨げた。メアリーは同書の中で次のように綴る。

《フレッドは普通のときでさえ、子供が愛情を求めるそういう行動を煩わしいとしか思わなかった》《(ドナルドとその弟ロバートが)寂しがって甘えたがれば甘えたがるほど、フレッドは二人を遠ざけた》(《 》内・以下同)

 子供の成長期の心理に詳しいメアリー曰く「乳幼児の行動はすべて、親からの愛情表現を求めるためのもの」。子供が笑顔を向ければ親から笑顔が返され、涙を見せれば優しく抱きしめられるべきだという。しかし、そうした愛情表現は、フレッドにとって忌み嫌うべきものだった。父にそうした愛情表現を求めたドナルドは、時に激しい怒りを買い、ついには普通の子供のように父親から愛されることを諦めねばならなかった。

《結局、子どもたちは外界から孤立しただけでなく、子どもどうしでも疎外感を抱くようになっていく。つまり、他者と仲間関係を築くことがどんどん難しくなった》

※女性セブン2020年9月24日・10月1日号

関連記事

トピックス

被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン