芸能

「ロフト」事件簿 異臭ライブでスタッフ全員「やめます」

80年代初頭、新宿駅西口、小滝橋通りにあった新宿ロフト前で入場を待つファンたち

 新型コロナウイルス感染拡大のなかで、“3密の元凶”としてバッシングを受けたのがライブハウス。“日本のロック”誕生の立役者である、老舗ライブハウス「ロフト」も窮地に追いやられた。

 今年3月、「LOFT HEAVEN」(東京・渋谷)でコロナ感染者発生の報を聞いた「ロフト」創業者・平野悠さん(76才)は「まさか、うちで……!?」と呆然としたという。緊急事態宣言は発令前だったものの、入場観客数を半分にし、消毒などの予防措置を取った上でライブを開催していた。しかし、出演者はじめ、観客、スタッフが新型コロナウイルスに感染していたのだ。

 全国で12店舗を展開するなど、ライブハウスシーンの中心にあるロフト。来年開業50周年を迎えるタイミングでのコロナ禍である。

「来年の50周年に向かって絶好調だったのに、今回のコロナで木っ端みじんですよ。僕の頭もぶっ飛んだよね」(平野さん)

 現在、ロフトは観客数を減らして感染対策をしながら、営業中。オンライン配信を中心に存続の道を模索中だ。

「客席とステージの丁々発止、“何かが起こる”予感が快感であって、その空間にいた人だけが共有できる特別な瞬間がある。それがライブハウスの醍醐味であり、音楽の力なんです」

 平野さんがそう語るように、ロフトの長い歴史の中には、多くの”事件”も起きている。そこで、ロフトの歴史とカオスな事件簿をまとめた。

◆1971年 ジャズ喫茶・烏山ロフト開店

 レコード枚数の少なさに呆れた客が自分のレコードを持ち寄るうちに、あらゆるジャンルの音楽が流れる空間となった。常連に、東京藝術大学の大学院生だった坂本龍一がおり(近所に住んでいた)、水割り1杯と引き換えに、女子大生のレポートを代筆していたという逸話が残る。

◆1973年 西荻窪ロフト開店

 生ライブのできる店を目指し、西荻窪ロフト開店。楽屋もなくトイレも観客と共用だったが、当時演奏する場のなかった多くのミュージシャンは喜んで出演した。オープニングの10日間ライブには山下洋輔トリオ、頭脳警察、鈴木慶一、桑名正博、南佳孝、なぎら健壱など錚々たる顔ぶれが登場。山下洋輔の演奏中、隣の魚屋の主人が出刃包丁をもって「うるさい!」と殴り込んできたことも。

◆1974年 荻窪ロフト開店

 第1次ライブハウスブームの幕開け。大手レコード会社に与せず、自分の好きな音楽を発信するティン・パン・アレー(細野晴臣、松任谷正隆、林立夫らを中心とした音楽ユニット)と、大滝詠一、シュガー・ベイブ時代の山下達郎や大貫妙子、荒井由実などが出演していた。

 荻窪ロフト恒例のセッションでは、狭くてステージに上がれない荒井由実、吉田美奈子、大貫妙子、矢野顕子の即席コーラスグループがカウンターの中で歌ったこともあった。

 シュガー・ベイブの解散式もここで行われた。そのほかフォークの重鎮・高田渡や友部正人、森田童子、大阪から月1で桑名正博、南佳孝、ムーンライダーズ、シーナ&ロケッツなども出演していた。

◆1975年 下北沢ロフト開店

 店員バンドだったサザンオールスターズが閉店後に練習し、月1回ライブを行った。タモリも、伝説のシークレットライブ後、何度か出演している。また、ブレーク前のRCサクセションやカシオペアもいた。そのほか、金子マリ、Char、上田正樹、憂歌団、中島みゆき、大橋純子などが出演。

関連記事

トピックス

解散を発表したTOKIO(HPより)
《TOKIO解散には迷いなし?》松岡昌宏、「男気会見」で隠せなかった本音 唯一違った“足の動き”を見せた質問とは?
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《六本木ヒルズ・多目的トイレ5年後の現在》佐々木希が覚悟の不倫振り返り…“復活”目前の渡部建が世間を震撼させた“現場”の動線
NEWSポストセブン
東川千愛礼(ちあら・19)さんの知人らからあがる悲しみの声。安藤陸人容疑者(20)の動機はまだわからないままだ
「『20歳になったらまた会おうね』って約束したのに…」“活発で愛される女性”だった東川千愛礼さんの“変わらぬ人物像”と安藤陸人容疑者の「異変」《豊田市19歳女性殺害》
NEWSポストセブン
児童盗撮で逮捕された森山勇二容疑者(左)と小瀬村史也容疑者(右)
《児童盗撮で逮捕された教師グループ》虚飾の仮面に隠された素顔「両親は教師の真面目な一家」「主犯格は大地主の名家に婿養子」
女性セブン
組織が割れかねない“内紛”の火種(八角理事長)
《白鵬が去って「一強体制」と思いきや…》八角理事長にまさかの落選危機 定年延長案に相撲協会内で反発広がり、理事長選で“クーデター”も
週刊ポスト
ディップがプロバスケットボールチーム・さいたまブロンコスのオーナーに就任
気鋭の企業がプロスポーツ「下部」リーグに続々参入のワケ ディップがB3さいたまブロンコスの新オーナーなった理由を冨田英揮社長は「このチームを育てていきたい」と語る
NEWSポストセブン
たつき諒著『私が見た未来 完全版』と角氏
《7月5日大災害説に気象庁もデマ認定》太陽フレア最大化、ポピ族の隕石予言まで…オカルト研究家が強調する“その日”の冷静な過ごし方「ぜひ、予言が外れる選択肢を残してほしい」
NEWSポストセブン
佐々木希と渡部建
《渡部建の多目的トイレ不倫から5年》佐々木希が乗り越えた“サレ妻と不倫夫の夫婦ゲンカ”、第2子出産を迎えた「妻としての覚悟」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博で、あられもない姿をする女性インフルエンサーが現れた(Xより)
《万博会場で赤い下着で迷惑行為か》「セクシーポーズのカンガルー、発見っ」女性インフルエンサーの行為が世界中に発信 協会は「投稿を認識していない」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
《東洋大学に“そんなことある?”を問い合わせた結果》学歴詐称疑惑の田久保眞紀・伊東市長「除籍であることが判明」会見にツッコミ続出〈除籍されたのかわからないの?〉
NEWSポストセブン
愛知県豊田市の19歳女性を殺害したとして逮捕された安藤陸人容疑者(20)
事件の“断末魔”、殴打された痕跡、部屋中に血痕…“自慢の恋人”東川千愛礼さん(19)を襲った安藤陸人容疑者の「強烈な殺意」【豊田市19歳刺殺事件】
NEWSポストセブン
都内の日本料理店から出てきた2人
《交際6年で初2ショット》サッカー日本代表・南野拓実、柳ゆり菜と“もはや夫婦”なカップルコーデ「結婚ブーム」で機運高まる
NEWSポストセブン