8月に岩間医師による心電図の検査を受けた80代男性は次のように語る。
「動悸がしたから不安で先生に電話したら『伺いますよ』と来てくれた。結局、異常はないとすぐにわかった。こんなご時世だから『病院に行けない不安』があったけど、これから先生が定期的に診に来てくれることになって、心が軽くなった」
訪問診療を受けられる条件は「自力での通院が困難であること」だが、幅広く認められることもあると岩間医師は言う。
「『頑張れば通院できるから』と遠慮してしまう方が少なくありませんが、それを続けると転倒など別のリスクまで引き寄せかねません。かかりつけ医やケアマネジャーに気軽に相談してほしい」
岩間医師のクリニックでは、訪問診療での内視鏡による嚥下検査も取り入れている。直径3ミリほどの管を鼻から喉の奥まで挿入する検査だ。
「カメラで喉をのぞき込むことで、誤嚥性肺炎などのリスクを調べることができます」(同前)
レントゲン検査も在宅で受けることが可能だ。
「最近は機器の小型化が進み、中型のキャリーケースほどの大きさに収まる。組み立てや片付けも5分ほどで済みます」(都内に拠点を置く訪問医)
こうしたレントゲン検査は疾患が疑われる症状がある際に行なわれるものだという。
「熱や咳が続くなど肺炎が疑われる際に胸の撮影をします。ポータブルレントゲンは、医療機関のレントゲン室のものと比べるとやや解像度が落ちますが、ひどい肺炎や胸水が溜まってないかといった大きな変化を知るためには十分です」(同前)