では、そんなコンパクトSUV商戦の行方はどうなるのでしょうか? まず押さえておきたいのが、コンパクトSUVは3台の新顔以外にも、各社に人気モデルが存在していることです。ホンダで言えば「ヴェゼル」、マツダは「CX-3」、スバルは「XV」、スズキの「SX-4 S-CROSS」といった具合です。
ただし、これらのモデルは、みなデビューから年月がそれなりに経っており、フレッシュさという点では新顔の3台にはかないません。そのため「XV」と「SX-4 S-CROSS」は、残念ながら販売ランキング50位より下の圏外。逆に言えば「ヴェゼル」「CX-3」は、古いながら健闘しているモデルと言っていいでしょう。
「CX-3」がランキング内(2020年8月のランキングで41位)にとどまっているのは、5月の商品改良で、エントリーとなる1.5リッター・ガソリン・エンジン車を追加したことが最大の理由でしょう。
それ以前の「CX-3」は、“小さくても、中身はちょっとリッチ”という雰囲気で、2リッター・ガソリン・エンジンやディーゼル・エンジンなど、少し大きめのエンジンを搭載していました。その分、価格も高かったのですが、2020年5月の商品改良で、価格を抑えた1.5リッター版を投入。これによりランキングに復活しています。
「ヴェゼル」はどうかと言えば、実は2013年のデビュー翌年から昨年まで、常に「SUV暦年新車販売台数」の1位か2位の常連でした。2019年は1位で、いわばディフェンディング・チャンピオンといった立場。つまり2019年までは、「コンパクトSUVといえばヴェゼル!」だったのです。
ところが「ライズ」の登場によって立場が一変します。2020年1~6月の累計販売の1位(5万8492台)の「ライズ」に対して、「ヴェゼル」は20位で1万8090台と大きく差をつけられてしまったのです。とはいえ、「ヴェゼル」のデビューは2013年で7年も前のこと。ベースとなった「フィット」はすでに世代交代されています。逆に言えば「よくもまあ6年以上も最前線で売れ続けたな」と呆れるほどの人気の高さです。